
埼玉県の南西部に位置し、都心からのアクセスも良い狭山市。
西武鉄道新宿線「狭山市駅」から徒歩7分、麻の葉文様が印象的なビル「速玉テラス」の2階に、「はたなか赤ちゃんこどもクリニック」がある。
連日多くの小児・新生児患者が訪れる同院だが、院長の畠中先生は「この地での開業は、簡単なものではありませんでした」と振り返る。
1階はケーキ屋、3階は内科・血液内科クリニックが入居している。
「“医者”というよりも、“小児科医”になりたくて医学部に進学しました」
そう語る畠中先生。その原点は、宮崎県で過ごした幼少期の記憶にある。
「私の住んでいた街には夜間に診てもらえる小児科クリニックがなく、夜に発熱すると、隣の市にあるクリニックまで車で連れて行ってもらっていました。そこの先生がとても優しい方で、高熱でつらいときも、その先生の顔を見るだけで元気になったような気がしました。3〜5歳くらいの頃の話ですが、先生のことも、クリニックの雰囲気も、今でもよく覚えています。あの先生みたいな小児科医になりたいと思いましたし、いつかは開業したいという気持ちも昔から持っていました」
当初の志どおり、防衛医科大学に進学・卒業。初期研修の後に熊本の自衛隊部隊へ赴任した。その間、熊本市民病院NICUでの研修を通じて新生児医療の魅力を知り、小児科の中でも新生児医療を専門にするようになった。
「開業するにはまず経験を積まなければならないと考え、さまざまな病院で勤務しました。そして医師20年目を迎え、武蔵野赤十字病院NICUでの勤務も10年目になろうというタイミングで、開業準備に踏み切りました」
開業を意識し始めた頃、医局に届いていた『1489MAGAZINE』を手に取った畠中先生。この「起業医」コーナーを読んだことが、背中を押すきっかけになったという。
「他の先生方の経験談を読んで、『自分も開業したい』と改めて思いました。依頼の決め手になったのは、医歯薬ネットさんの開業支援実績の多さです。
コンサル会社の質がピンキリだという話は知り合いからも聞いていたので、これだけ多くの先生に選ばれているなら信用できると思い、すぐに面談を申し込みました」
面談時点では、開業希望エリアが定まっていない医師も少なくない。しかし畠中先生は、当初から「埼玉県狭山市」での開業を希望していた。
「私には3人の子どもがいて、みんな狭山の地で育っています。
子どもたちの故郷であるこの狭山市で開業したいという思いがありましたし、子どもたちを育ててくれた狭山市に、医療を通じて恩返しをしたい気持ちもありました。
開業を“大成功”させるという観点だけで見れば、もっと適した場所があったのかもしれません。でも、そこはどうしても妥協したくなかったんです」
一方で、診療圏調査や実地調査を行った医歯薬ネットからは、狭山市で開業することの厳しさも示された。
「担当コンサルの古澤さん(本社営業部)から、競合クリニックの状況や、患者となり得る小児人口の推移など、狭山市で開業する厳しさが分かるさまざまなデータを見せていただきました。現実的なデータを示してもらえたのはありがたかったです。
しかし、丁寧な診療を行えばきっと患者さんは集まってくれると考えていました」
土地柄、主な移動手段は車であるため、広い駐車場の確保が必須条件だった。
「広い駐車場を確保するには戸建て開業だと思い、当初は戸建てにこだわっていました。古澤さんには、候補地として挙がっていた地主さんと何度も交渉していただいたのですが、最終的に先方の都合で白紙になってしまったこともあり、気持ちが折れかけたこともありました」
そんな時古澤から提案されたのが、現在クリニックが入居している「速玉テラス」だった。
「この建物の前を走る『つつじ通り』は、生活道路として多くの人が利用する中心的な通りなので、一度は検討すべき物件だと勧めていただきました。戸建て希望だったので、正直なところ候補には入れていなかったのですが、そこまで言うならと、ご提案いただいた当日に内見に行きました。
実際に見てみると、直感的に『いいな』と感じましたし、これ以上戸建てにこだわっても時間だけが過ぎてしまう気がして、この物件での開業を決めました」
2階のワンフロアが「はたなか赤ちゃんこどもクリニック」。
奥にはインターホン付きの隔離室用入口がある。
戸建て開業に強いこだわりを持っていた畠中先生に、なぜこのテナント物件を勧めたのか。インタビューに同席していた担当コンサルの古澤は、当時をこう振り返る。
「まず、先生が最初に希望されていた狭山台エリアで、しらみつぶしに物件探索を行い、候補地をいくつか挙げていました。
しかし、生産緑地地区などの法令や、土地所有者側の事情が重なり、どれも開業地としては難しい状況でした。そこで視点を変え、この『つつじ通り』周辺に目を向けたところ、速玉テラスに出合いました」
一方で、戸建てへの強い思いを知っていたからこそ、紹介には慎重になったという。
「改めて、先生がなぜ戸建てでの開業にこだわっているのかを考えたところ、『十分な駐車場を確保できること』が本質だと感じました。
この物件であれば、共用駐車場ではありますが16台分(※その後25台分に増加)を確保できますし、1フロアを使えば戸建てと同等の面積で設計することも可能です。この物件は先生のご希望を叶えることができるテナントではないかと考え、ご紹介させていただきました」
開業地が決まると、レイアウト検討や内装デザイン、医療機器の選定、スタッフ採用、行政への届け出など、やるべきことは一気に増える。勤務医として働きながらの開業準備を、畠中先生は担当コンサルと二人三脚で進めていった。
「どの時期までに何をやる必要があるのか、銀行融資や行政手続きのためにどんな資料が必要なのかといった点は、古澤さんがすべて整理して示してくださっていました。そのおかげで私は、どのメーカーの医療機器にするのか、どの業者にお願いするのかといった最終判断に集中することができ、とても助かりました。医歯薬ネットさんには開業に必要なノウハウが一通りそろっていて、本当に感謝しています」
準備は順調に進んでいったが、不安がなかったわけではない。
「一番不安だったのは、やはりお金のことです。開業資金として多額の借り入れを行い、その後もさまざまなフェーズで何百万、何千万単位のお金が動いていきます。本当に患者さんが来てくれるのか、きちんと採算が合うのかと考えると、不安でなかなか眠れない夜もありました」
そんな不安を払拭するかのように、開業初日には50名弱の患者が来院。その後も、想定を上回るペースで患者数は増えていった。
「開業初日から現在に至るまで、集患で困ったことはありません。『丁寧な診療を行えば、きっと患者さんは集まってくれる』と信じて日々診療に向き合っていたら、ママ友や職場の方からの評判を聞いて来てくださる方が増え、人から人へと自然に口コミが広がっていきました。開業して1か月ほど経った頃には手応えを感じ、『これはやっていける』と思えました」
データ上では厳しいとされた狭山市での開業。苦境とも思われる状況を、誠実な医療で乗り越えた畠中先生は、医歯薬ネットが提示したデータについてもこう語る。
「想定していた診療圏よりも遠くから患者さんが来てくださっているのは、大きな励みになっています。
また、事業収支計画については佐藤社長から『経費は多めに、利益は厳しめに見積もる』という方針を聞いていました。経営のことなので、私も甘く見積もるべきではないと私も思います。実際に開業してみると、当時の計画よりも良い数字が出ていて安心できたので、あの厳しいデータ作りはさすがだと感じました」
「家族の思い出にしたい」と、壁紙は畠中先生の3人のお子さんが選んだものを採用した。
生まれたばかりの赤ちゃんから安心して通えるクリニックを目指し、畠中先生が何よりも大切にしているのが「思いやり」と「優しさ」だ。
その想いは、共に働くスタッフにも共有されている。
「スタッフさんからの提案で、嘔吐してしまったお子さんのために着替え用の洋服をストックしています。赤ちゃんの場合は着替えを持参されることも多いですが、少し大きくなるとなかなか持ち歩かないですよね。そうした場面に備えて、私やスタッフさんの子どもたちが着なくなった洋服をクリニックに置き、必要に応じて貸し出しています。とても喜んでいただけますし、こうしたアイデアを出してくれるスタッフさんは本当にすごいと思います」
安心して通えるクリニックづくりは、院内レイアウトにも反映されている。
通常の入口とは別に、発熱・感染症患者専用の入口を設け、3つの隔離室を確保。院内感染対策にも細心の注意を払っている。
「開業準備を進めていた時期が新型コロナウイルスの流行と重なっていたこともありますが、それを差し引いても、小児科は水疱瘡やおたふく風邪など感染症が多い診療科なので、感染症対策は必須だと考えていました。家族連れでの来院や、ベッドで休むことも想定して広めの設計を希望したところ、医歯薬ネットさんからご紹介いただいた設計士の方が、希望通りのレイアウトを提案してくれました。現在もインフルエンザが流行している時期なので、隔離室はフル稼働しています」
※2025年12月に取材を行いました
開業から約2年半。畠中先生は、開業医としての日々をどう感じているのだろうか。
「勤務医時代は当直があり、NICUでは夜間に一睡もできないこともあったので、体力的には開業したほうが楽になるだろうと思っていました。そのため、開院当初は週5.5日(月曜〜金曜、土曜半日)の診療を予定していたのですが……実際に始めてみると、朝から晩までずっと診療や検査に追われます。想像していた以上に体力を使いますね。
それ以外にも、人事や労務管理など診療以外の業務も増えるので、その点は大変だと感じています」
そんな畠中先生を支えている存在が、クリニックで看護師としても働く奥様だ。
「開業準備中は、看護師の視点で必要なものをそろえてくれたり、相談に乗ってもらったりしました。開業後も、開業後も、看護師としてシフトに入ってくれており、クリニックの清掃、物品の管理・請求もしてくれています。妻の存在はとても心強いです」
最後に、これから開業を目指す医師に向けてメッセージをもらった。
「開業準備は本当に大変です。各業者や医師会など、多くの人と関わりながら、さまざまな大きな決断をしていくことになります。ただ、今振り返ると、すべてが良い経験だったと思います。あの準備期間を通じて成長できましたし、大げさかもしれませんが、人間力が上がったと感じています」
そして、開業医としてのやりがいについて、こう締めくくった。
「何より、お子さんの成長を間近で見守れることが嬉しいですね。勤務医の頃もフォローアップを通じて成長を見ることはできましたが、クリニックでは、より身近に感じることができます。ワクチン接種で来ていた赤ちゃんが歩けるようになったり、以前は泣いていた子がニコニコしながら診察室に入ってきてくれたり。そうした成長をお母さんやお父さんと一緒に喜べるのは、開業して本当に良かったと思える瞬間です」
(さらに!HP限定の「担当コンサルの声」に続きます)
クリニックのレイアウト クリニック面積約204.5㎡(61.8坪)
Doctor’s Profile
2004年3月 防衛医科大学校 卒業
2004年6月 防衛医科大学校病院および自衛隊中央病院にて初期研修
2006年8月 陸上自衛隊西部方面衛生隊医官
2007年8月 自衛隊福岡病院・小児科
2008年8月 防衛医科大学校病院・小児科
2010年8月 自衛隊札幌病院・小児科
2013年4月 武蔵野赤十字病院・新生児科
2023年5月 はたなか赤ちゃんこどもクリニック 開院
二人三脚で開業準備を進めた畠中先生と担当コンサルの古澤(本社営業部)
畠中先生の担当コンサルタントである古澤(本社営業部)にも、インタビュー後に話を聞いてみた。
Q1.今回の取材で印象に残ったことや、感想を教えてください。
「開業してから取材までの2年半ほどの間に何度か訪問させていただいていたので、すぐに集患に成功し、軌道に乗られたことは取材の時点でも分かっていました。
インタビュー(記事)の中にもありますが、畠中先生が開業準備中にご不安を抱いていらっしゃったことは感じていましたし、対面でそのお気持ちを伺ったこともありました。
ただ、こどもに対する愛情や、狭山に対する恩返しの想いをずっと聞いてきた私としては、『畠中先生なら、間違いなく流行り、愛されるクリニックを築かれる』と、開業場所をご紹介した時から確信していたことを、改めて思い出しました」
Q2.ドクターと接する(コンサルをする)うえで大切にしていることがあれば教えてください。
「開業の理由や背景が十人十色である中で、『そのドクターが目指す、開業における成功とは何か?』を常に原点に置いて考えることです。
今後のライフプラン(お子さまの教育など)を考えたときに、収入を上げたいドクターにとっては、診療圏の良い場所で開業し、日々忙しく診療することが成功かもしれません。
当直・宿直が多く、家族との時間の確保を望まれるドクターにとっては、逆に自宅から通勤圏内でのコンパクトな開業(ローリスク・ローリターン)が成功というケースもあります。
畠中先生で言えば、診療圏データ上は最良とは言えない可能性をご理解いただいたうえでも、“狭山市でのご開業”に対する強いこだわりと意思を感じました。
ドクターと私たちコンサルタントが共通認識を持つことで、『それを実現するにはどうすればよいか?』を一緒に考えることができます。その結果、ケースバイケースとなることの多い開業準備においても、より具体的なご提案ができると考えています。
また、医歯薬ネットは医療機器メーカーのように『より多くの医療機器を販売したい』という目的や、調剤薬局のように『(医療モール内で診療科目のバッティングがあっても)処方箋が来ればよい』といった特定の思惑はありません。
我々は開業支援を専業としていることで、ドクターお一人おひとりの想いに応えることができます。それが、医歯薬ネットの大きな特長です」
■弊社が開業支援をさせていただきました。
クリニック開業支援の専門企業として、本格的なコンサルティングを行っている医歯薬ネット。
開業の成功の鍵を握る開業場所の探索に力を入れ、開業ドクターの希望エリア内で最適な物件を探索し、ご提案します。
安全に開業までサポートした後も、経営相談・会計顧問業務で関わるため安心です。
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