開業医師インタビュー

ぎふ頭痛 脳神経クリニック山田 哲也 院長

住所
岐阜県岐阜市北島3丁目2-1
URL
https://gifu-neuro.com/
開業日
2024年11月1日
診療科目
脳神経外科・内科
開業支援実績
こちらからご覧になれます

2024年11月、岐阜県岐阜市に「ぎふ頭痛 脳神経クリニック」が開院した。
頭痛診療に特化し、MRIを活用した迅速な検査体制を強みに掲げるクリニックには、県内外から多くの患者が来院している。

「頭痛患者さんが、適切な診断や治療にたどり着くまでに時間がかかりすぎていると感じていました」

そう語る院長の山田哲也先生は、脳神経外科医として勤務する中で従来の頭痛診療体制に課題を感じ、
理想の診療環境を実現するために開業を決意した。



頭痛外来との出会い

手塚治虫の不朽の名作『ブラック・ジャック』を読んだことが、医師を志すきっかけになったと話す山田先生。
当時はまだ小学生だったが、その思いは変わることなく岐阜大学医学部へと進学した。

「脳は、専門でない限り見た目だけではどこにどんな機能があるのか分からないと思います。
 そうした脳神経の不思議さや、臨床実習で見た手術の美しさに惹かれて、脳神経外科に入局しました」

岐阜大学医学部附属病院や関連病院で研鑽を積みながらも、当初は開業について考えていなかったという。
転機となったのは、2019年のこと。大学で約2年半にわたり研究に従事していた期間中、
岐阜県郡上市の鷲見病院で頭痛外来に触れる機会を得た。
この経験が、その後の進路に大きな影響を与えることになる。

「頭痛専門医の診療を求めて来院される方は多く、私も頭痛外来に関わる機会がありました。
 そこで、『脳外科医が行う頭痛診療』と『頭痛専門医が行う頭痛診療』は全く違うものだと実感しました。

 脳神経外科では、脳卒中や重症頭部外傷といった救急疾患から始まり、脳腫瘍や動脈瘤など、
 限られた医師のみが手術できる疾患へとステップアップしていきます。
 一方で、『頭痛』という疾患について体系的に学ぶ機会はほとんどありませんでした。

 外来で頭痛患者さんを診る場合、CTやMRIを撮影し、異常がなければ『特に問題ありません』で終わることも少なくありません。
 しかし鷲見病院では、片頭痛か、緊張型頭痛か、慢性頭痛かを分類し、それぞれに応じた治療を行っていたのです。
 その診療に大きな衝撃を受け、頭痛診療に強く興味を持つようになりました」

2020年に岐阜大学の臨床現場へ戻ると、それまで見えていなかった課題がより明確になった。

「脳卒中や脳腫瘍には十分な人員や教育体制が整えられている一方で、
 頭痛、てんかん、認知症、めまいといった領域を専門的に診療する医師は限られていました。

 加えて、大学病院では頭痛で受診しても初日は問診やCT撮影のみで終わり、
 MRIを撮る場合は1か月後の予約になることもあります。
 ですが、頭痛の中には緊急対応が必要な疾患も含まれています。
 患者さんのことを考えるなら、その日のうちにMRI検査まで実施できる体制が必要だと感じました」

そして、その思いが開業という決断につながった。

「自由に使えるMRIが必要だと考えた時、自分でクリニックをつくるしかないと決心しました」


広々とした駐車場には、患者さんが駐車しやすいようU字型の区画ラインを採用


頭痛診療を支える物件選び

知人が医歯薬ネットの支援を受けて開業していたこともあり、山田先生も医歯薬ネットへ開業コンサルティングを依頼した。
頭痛外来を軸に開業するうえで、山田先生が特に重視したのは基幹病院との距離感だった。

「岐阜市内には、脳外科の診療体制が整っている基幹病院が4つあります。
 頭痛疾患の中には病院へ速やかに紹介しなければならない危険な疾患も含まれているので、頭痛外来を行う以上、
 少なくとも2つ以上の病院と連携が取れる距離でないと難しいと考えました」

また、物件には十分な広さも求めた。

「MRIの設置はもちろんですが、脳卒中などで救急搬送が必要になるケースも想定していました。
 院内ではストレッチャーが通れる動線を確保しなければならないため、幅の広い廊下や処置室も必要になります。
 そのため、病院との距離に加え、十分な広さがあることを条件に探してもらいました」

医歯薬ネットによる初回の物件提案時には、現在クリニックが建つ土地も候補の一つとして紹介された。
交通量の多い幹線道路からの視認性が高い一方で、大通りから一本内側に入った立地のため、車での出入りもしやすい。
また、岐阜大学医学部附属病院や岐阜市民病院とも連携しやすい距離にあり、山田先生にとって理想的な条件が揃っていた。
こうした点が決め手となり、この地での開業を決断した。


通り沿いには高さのある自立看板を設置し、視認性を確保している


診療の核となるMRIの選定

開業準備では決めなければならないことが数多くあるが、迷いなくスムーズに進めていったという山田先生。
その中で唯一、徹底して慎重に検討したのがMRIの選定だった。

「病院には手術や入院患者さんへの対応など、外来以外にも重要な業務が数多くあります。
 だからこそクリニックでは、病院で診るべき疾患かどうかを判断する、
 脳外科診療の『一階部分』にあたる外来を担いたいと考えていました。
 そうなると、クリニックで撮影した画像が病院側でもそのまま診断に使えるクオリティでなければいけません。
 もし病院でMRIを撮り直す必要があれば、結局1か月先の予約になってしまうこともありますし、
 患者さんにとってはクリニックと病院の両方で検査費用が発生してしまいますからね」

各メーカーからは、撮影時間の短さや省スペース性、価格面などさまざまな提案があったという。
しかし山田先生が最も重視したのは、あくまで画質だった。

「医歯薬ネットさんが比較検討の場を設けてくれましたが、その中で条件に最も合っていたのがシーメンス社のMRIでした」


自由に使えるMRIを求めて開院して以降、患者数は想定を上回るペースで増加している。

「金曜日に開院したのですが、翌日の土曜日には想定以上の患者さんが来院されました。
 13時までの診療予定が15時頃まで延びてしまい、
 その後スタッフ全員で近所のファミレスに行ったことを今でもよく覚えています。

 そして、多くの患者さんに対応するには早急にシステムを整えなければいけないと感じ、
 予約システムにおける初診と再診の割合を見直すなど、すぐに調整を行いました。
 患者さんが来なかったらどうしようという不安よりも、患者さんが殺到して混乱を招くことの方が怖かったですね」

クリニック名に「頭痛」と冠し、専門性を明確に打ち出したことも集患につながっている。
現在は岐阜県内だけでなく、愛知県一宮市や滋賀県米原市など、車で1時間以上かかるエリアからも頭痛に悩む患者が来院しているという。

「内覧会に来てくださった方々とお話しした時点で、頭痛で困っている方が非常に多いことは感じていました。
 周辺を見ても同様の診療方針を掲げるクリニックは滅多にないので、
 先駆けとなるようなクリニックになれたのではないかと思っています。

 そもそも、脳外科クリニックは救急外来に近く、どのような症状の患者さんが来院されるか分からない診療科でもあります。
 風邪など他領域の症状で来られても対応できないことがありますし、脳卒中のように迅速な対応が必要な疾患が見つかることもあります。
 だからこそ、クリニック名に『頭痛』と入れることで、何を診る場所なのかを明確にしました」


落ち着いた色調と間接照明を採用し、頭痛患者さんにも配慮した待合室


「異常なし」で終わらせない脳外科外来

ぎふ頭痛 脳神経クリニックでは、2026年4月より、岐阜大学医学部附属病院 耳鼻咽喉科・頭頸部外科の医師によるめまい外来を開始した。
開院当初、山田先生はクリニック名に「頭痛」と掲げていることから、患者の大半が頭痛症状で来院すると想定していたという。
しかし実際は、開院以降14か月間の受診患者のうち約75%が頭痛患者だった一方で、めまい患者も一定数来院していた。

「今までは、めまいで来院された患者さんにMRIを撮影し、
 脳が原因ではないと分かれば『脳には異常はありませんよ』とお伝えして診療を終えるしかありませんでした。
 異常がないことを伝えるだけで終わってしまうのは、大きな病院で頭痛患者さんに対して行っていた診療と同じです。
 それだけでは患者さんの症状そのものが解決するわけではありませんし、
 どこかすっきりしない様子で帰られる姿を見て、これで本当に良いのだろうかと感じていました」

こうした課題意識から、院内でめまい診療まで完結できる体制づくりを模索した。

「ちょうど大学病院の耳鼻咽喉科教授とお話しする機会があり相談したところ、
 ありがたいことにめまい外来を担当できる先生をご紹介いただけることになりました。
 これによって、『脳に異常がなくて良かったですね』で終わるのではなく、
 その次のステップとしてクリニック内で耳鼻咽喉科医にも診てもらえる体制を整えることができました」

さらに同院では、週1回、大学病院の脳神経外科医による診療も行っている。

「脳の手術となると、セカンドオピニオンを希望される患者さんも少なくありません。
 クリニックにいながら大学病院と同じ水準で相談できることで、
 患者さんにとってより安心できる環境を提供できていると思います」



相談室


四季の移ろいを感じられる中庭。
院内の中央に配置し、待合室や相談室など院内各所から眺めることができる。


診療の“軸”が成功のカギ

頭痛診療に特化したクリニックという明確な構想はあった一方で、それをどのように形にするかは手探りだった。
山田先生は、開業準備を振り返り、こう話す。

「クリニックを作ろうと思った時点では、みなさんかなり漠然としていると思います。
 私も初回面談では、『クリニックを作りたい』『頭痛診療がしたい』『MRIが欲しい』くらいしか話していなかったと思います。
 また、頭痛を軸にした脳神経外科クリニックはそれほど多くありません。
 内科や皮膚科のように、『こういう立地で、こういう形で開業すれば成功しやすい』といったパターンや事例も少ないと思います。

 医歯薬ネットさんが脳外科クリニックのコンサル実績を持っていることは知っていましたが、それを差し引いても、
 前例や情報が少ない中で私の曖昧な希望をきちんと汲み取り、具体的な形に落とし込んでくださったのは素晴らしいと思いました。
 とても感謝しています」

最後に、これからクリニック開業を検討している先生方へメッセージをいただいた。

「クリニックを作るなら、自分がそこで何をやりたいのか、その軸をはっきりさせた方が良いと思います。
 方向性が曖昧なまま開業してしまうと、仮にうまくいかなかった時に
 『とりあえずこれもやろう、あれもやってみよう』と手を広げすぎてしまい、かえって混乱が大きくなる可能性があります。
 世の中のニーズに流されすぎると、患者さんから見ても『何のクリニックなのか』が分かりにくくなってしまいますからね」

もっとも、「軸を持つこと」はジェネラリストを否定することではない、と山田先生は続ける。

「もちろん、収益面を考えれば『何でも診られる』ことは強みになりますし、
 本当に幅広く対応できるジェネラリストの先生によるクリニックも非常に重要だと思います。
 
 その一方で、自分の強みや自信のある領域を明確に打ち出す方法もあると思います。
 私は全身を幅広く診られるタイプではありませんが、脳に関しては多くの症例で経験を積ませてもらいました。
 その軸があるからこそ、このクリニックがどういう医療を提供したいのか、
 何のために開業したのかが患者さんにも伝わりやすいのだと思います。
 
だからこそ、その医療を必要としている患者さんが来てくださるのではないでしょうか」

「開業したことで自由にMRIを使えるようになりましたし、
 自分のやりたい診療を実現できるようになったことが何よりうれしいですね」

 
クリニックのレイアウト(1階床面積 約67坪)


■弊社が開業支援をさせていただきました

クリニック開業支援の専門企業として、本格的なコンサルティングを行っている医歯薬ネット。
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