2023年11月8日
どうなる?どうする?かかりつけ医制度とクリニック
皆様こんにちは!医歯薬ネットです。
今回は、弊社YouTubeチャンネルでも度々取り上げている「かかりつけ医制度」の本格化と医院開業の今後についてお話しいたします。
かかりつけ医とは、「健康に関することをなんでも相談できる上、最新の医療情報を熟知して、必要な時には専門医、専門医療機関を紹介してくれる、
身近で頼りになる地域医療、保健、福祉を担う総合的な能力を有する医師」のことです(日本医師会WEBサイトより)。
上記のように定義はあるものの、この説明だけではやや抽象的です。
以下では海外の制度のご紹介を交えながら、日本のかかりつけ医制度の実態と今後の方針、
制度が本格化した後も安定した経営が成り立つクリニックの形について具体的に解説いたします。
まずは、日本のかかりつけ医制度の現状と方針についてです。
現在日本では、かかりつけ医制度について具体的な法制化はされていません。
厚生労働大臣が定める事項を満たすクリニックが届け出をすることで、かかりつけ医として、追加で保険点数の加算できる省令があるのみです。
具体的に医療で担う役割は明確化されておらず、実態は「よく行くクリニック」「通っていて馴染みのあるクリニック」という共通認識があるにとどまっています。
一方、海外では既にかかりつけ医制度が整備、運用されています。ここでは、イギリス、フランス、ドイツの3か国の例を見ていきます。
イギリス | フランス | ドイツ |
・全ての住民に対して、 原則無料で、包括的なサービスを提供
・予め登録した診療所で診療を受け、必要に応じて他の医療機関を紹介、受診する ・住民は、自由に診療所の登録を変更できる |
・かかりつけ医以外を受診する場合、負担金が増額
・小児科、精神科、産婦人科、眼科、歯科については、かかりつけ医を通さずに受診しても負担金の増額なし ・かかりつけ医の選択は自由で、変更はいつでも可能 |
・保険診療は家庭医診療と専門医診療に区分される
・国民は最初に家庭医を受診する義務はない ・紹介状を持たずに受診した場合は 10ユーロ(約1,400円)を負担 ・国民の約9割がかかりつけの家庭医を持つ |
(厚生労働省「各国のかかりつけ医制度について」参照、医歯薬ネット加筆)
国によって詳細は様々ですが、いずれも初めにかかりつけ医を訪ね、必要があれば紹介を通して他の医療機関にかかるという流れが構築されていることが伺えます。
今後は日本でも欧米諸国のような制度が確立されていくでしょう。
かかりつけ医は症状が現れたときに最初にかかるクリニックとなり、治療だけでなく、すべての患者さんにとっての医療の入り口として
患者さんと医療をつなぐ重要な役割を果たします。
かかりつけ医制度が推進されている背景には、日本の財政難と医師の働き方改革があります。
ご存じの通り、日本は財政ひっ迫により医療費の削減を迫られていて、赤字の中小病院を減らす(=病院数を減らす)方針がとられています。
また、2024年4月に開始される医師の働き方改革により、診療時間も短くなります。
このような状況下で、病院で今まで通りの医療が受けられない患者さんが増え、その受け皿としての役目を担う機関が必要になりました。
この役目を担う機関こそ、クリニック(かかりつけ医)なのです。
では、このような動きの中で安定した経営ができるクリニックは、どのようなクリニックでしょうか。
かかりつけ医制度が本格化する中で、安定した経営ができるクリニックはどのようなクリニックなのか。
その答えは、大型のクリニックです。
ただ診察して処方箋を出すだけといった従来の形のクリニックは徐々に淘汰され、
今後は病院並みの検査機器を導入しており、待合室や診察室も広く(建物の規模が大きい)、大きな駐車場を有するクリニックの形が求められるでしょう。
大型のクリニックは複数の常勤医師によって幅広い診療科を標ぼうし、在宅医療や入退院時のサポート、時間外診療の対応、介護施設との連携など、
多様なニーズに対応できる体制を整えることで、かかりつけ医として地域医療を支える存在となります。
地域住民のかかりつけ医にならなければ他院からの紹介を待つのみで患者の獲得が難しくなり、経営は苦境に立たされるでしょう。
地域のかかりつけ医としての地位を確立し、様々なニーズを満たして患者さんに選ばれる競争力の高いクリニックをつくることが、
開業を成功させるポイントの一つになります。
さて、弊社YouTubeでは週に一度、医療業界にまつわる動画を発信しております。
今回取り上げたかかりつけ医制度についても動画をアップしておりますので、こちらも併せてご覧くださいませ。
また、医歯薬ネットでは毎週水曜日、日曜日に開業オンラインセミナー「医院開業知識集中講座」を開催しております。
開業に少しでもご興味のある方、大型クリニックの開業にご興味のある方は是非一度オンラインセミナーにご参加ください。
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