2024年4月19日
自由なクリニック開業と大型検査機器導入が制限される?
みなさんこんにちは!
2030年に向けて電子カルテの導入やかかりつけ医制度の本格化など、医療提供体制の改革が進められています。
その改革の一環として、地域の外来医療機能の偏在・不足等への対応に向けた施策内容をまとめたものが外来医療計画です。
(参考)厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/001071386.pdf
外来医療の提供体制を整備するためのガイドラインです。
(参考)厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/content/000550063.pdf
このガイドラインでは、日本の医療の課題として
などの内容を挙げています。
この対策として、新たに開業しようとしている医療関係者等が自主的な経営判断をするに当たって有益な情報を提供することを掲げています。
「自主的な経営判断をするに当たって有益な情報」というのは、地域ごとの外来医療機能の偏在度合いを指標化したデータのことです。
これを外来医師偏在指標と呼び、その地域にどの診療科の医師がどの程度いるのかが明確化されます。
そして、この指標に基づいて、二次診療圏ごとに外来医師多数区域を設定します。
外来医師多数区域とは、既に診療所医師数が一定程度充足していると考えられる地域のことです。
この区域での新規医院開業を希望する医師に対して、外来医師の偏在状況を十分に踏まえた判断を促すことが定められました。
外来医師多数区域での開業希望者には、開業希望地が外来医師多数区域に属していることや、外来医療計画に定められている当該区域の方針に関する事項に関する情報提供が行われます。
さらに、全ての二次医療圏で必要な外来医療提供体制が確保されるように、当該区域において不足している医療機能を担うことも要求し、新規開業希望者の自主的な行動変容を求めています。
もしも新規開業希望者が当該区域において不足する医療機能を担うという要求に応じない場合は、協議の場への出席を求め、協議結果等を住民等に対して公表することが明記されました。
では、外来医師多数区域の設定・開業希望医への情報提供・協議の場の設置等の真の目的とはなんでしょうか。
弊社は、この施策の目的を自由な開業の実質的な制限ではないかと考えております。
外来医師多数区域において不足している医療機能を担うことを要求し、新規開業希望者の自主的な行動変容を求めるとは言いつつも、行動変容(=不足している医療機能を担うこと)をしなければ開業ができなくなるという解釈ができるからです。
実は、「開業の資金調達を担う金融機関や、新規開業に関わる機会があると考えられる医薬品卸販売業者、医療機器販売業者、薬局等に対して、医師の偏在状況等の情報を提供することが重要である」旨も発表されています。
これが何を意味しているのかを、金融機関を例にご説明いたします。
まず、開業を希望している地域が外来医師多数区域であることが、金融機関に知らされます。
すると、金融機関は、既に競合となる医療機関が複数ある場所できちんと事業計画通りの収益をあげられるのか、融資は予定通りに返済してもらえるのかという疑念を抱きます。
よって、開業時の融資が通りにくくなり、結果として開業を諦らめなければいけないという場合が出てくるのです。
このように、開業に関わる機関への情報提供によって、間接的に新規開業へのハードルを上げているのです。
また、外来医療計画を推し進めるにあたり、人口当たりの医療機器の台数に地域差があることも課題となっています。
これに対処するため、地域の医療ニーズを踏まえた地域ごとの医療機器の配置状況を可視化する指標が作成される予定です。
医療機器を有する医療機関をマッピングした上で、新規購入希望者に対してこれらの情報を提供します。そして、外来医療に関する協議の場等を活用し、医療機器の共同利用について協議することとなっています。
医療機器が十分にある地域では共同利用することを前提とし、共同利用をしない場合は共同利用を行わない理由を報告しなければなりません。
これによって、新たに医療機器を導入する敷居が高くなります。
このような外来医療計画は以下のスライドのようなスケジュールで執り行われ、2027年度には外来医療計画に基づいた取り組みが都道府県において開始されます。
つまり2027年度から、実質的な自由な開業の制限・実質的な医療機器の購入制限が始まるのです。
ですので、今後クリニックの開業をお考えの先生方は、このような制限がかかる前に、理想の開業地で使いたい医療機器を備えたクリニックを開かれることをお勧めいたします。
弊社ではこのように、最新の医療情報に基づき時代に合ったクリニックのご提案をしております。
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