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開業準備資金は経費で落ちる?クリニック開業前の費用処理を解説

公開日:2026年3月13日

開業準備資金は経費で落ちる?クリニック開業前の費用処理を解説

開業前の支出はどう扱われるのか

クリニックの開業準備には様々な費用がかかりますが、
開業前(事業開始前)は売上も経費も存在しないため、通常の経費として計上することはできません。
開業日は一般的にクリニックの開院日となりますが、
それまでにかかった費用は「開業費」として資産計上し、開業後に経費化することができます

開業費として認められる主な支出

開業準備期間にかかる費用のうち、以下のようなものが開業費として認められます。

  • 各種手数料:登記費用、銀行振込手数料、物件の仲介手数料など
  • 専門家への委託費用:開業支援コンサルタントや税理士、弁護士などへの報酬
  • 図書費:開業準備に関する書籍(※医学書は開業準備に直接関係するもののみ)
  • 打ち合わせ費用:喫茶店やファミレスでの打ち合わせ時の飲食代
  • 交通費:物件見学や打ち合わせのための電車代など


重要なのは、開業準備のために必要な支出であることです。
勤務医時代に診療のために購入した医学書などは、開業費として認められない可能性が大きいです。

領収書・レシートの管理方法、取り扱い

開業費として経費化するためには、適切な証憑書類の保管が不可欠です。

  • 宛名の記載:個人名で発行してもらい、「上様」は避ける
  • 内容の記載:領収書だけでは用途が分からない場合、余白にボールペンで内容を記載
          (例:「開業準備の打ち合わせ 食事代 A氏、B氏、○○医師」)
  • レシートより領収書:可能な限り領収書形式で発行してもらう
  • 鉛筆は不可:消せないボールペンで記載して税務上の証拠能力を上げる(消せるボールペンは筆跡が劣化するため避ける)


領収書やレシートは以下のように整理しておきましょう。
1.クリアポケットファイルを2つ用意
2.1つには「明らかに開業準備のための支出」を補完
3.もう1つには「判断が微妙な支出」を保管
4.判断が微妙な支出については、顧問税理士に相談して判断してもらう

領収書が出ない支出の記録方法

一方で、JRや自動販売機など、領収書が発行されない支出も出てくるかと思います。
そのような際には、
大学ノート(綴じ込み式)を用意して、日付、支払先、金額、理由、備考を記載しておきましょう。

ここで気を付けなければいけないのは、綴じ込み式のノートであるということです。
後から差し替えができるルーズリーフや、容易に改変ができるExcelは記録方法として適さないので、
必ず綴じ込み式のノートをご準備ください。

会計上と税務上の取り扱いについて

開業費の経費化については、会計上と税務上で扱いが異なります。
会計上は透明性・公平性を重視した外部報告を目的としますが(上場企業の決算短信等)、
税務上は税法に基づき、応能負担の原則や租税回避行為の防止を目的としています。

会計上の取り扱いに従うと税務申告の際に加算減算等の調整が必要となるため、
一般的にクリニック・医療法人では、税務上の取り扱いに従って処理を行います

会計上の償却: 5年間での均等償却が原則です。例えば10万円の開業費であれば、年間2万円ずつ償却することになります。
税務上の償却: 任意償却が認められており、償却期間の定めがありません。そのため、以下のような柔軟な対応が可能です。

  • 一括償却(開業初年度に全額経費化)
  • 5年以上にわたる長期償却
  • 利益が出た年度に経費化


開業費は通常20〜30万円程度と比較的少額であるため、多くの場合、開業後に利益が出た段階でその年に経費化して計上します。

医歯薬ネットのご支援によって開業されるクリニックの場合、開業から3〜4年前後で医療法人化するケースが多く、
節税対策として所得税・住民税の負担が重くなる前に開業費を経費化する必要が生じます。

会計事務所が適切なタイミングを判断してくれますが、まずは先生方が領収書・レシートをしっかり保管しておくことが重要です。

まとめ

開業準備にかかった費用は、適切に証憑書類を保管しておけば、開業後いつでも経費として計上できます。
領収書・レシートの管理を徹底し、内容を明確に記録することで、将来の節税につながります。
開業準備の段階から積極的に経費に気を配り、最大限の節税を行えるよう意識して行動しましょう。

今回ご紹介した内容は、弊社YouTubeでも解説しております。こちらも併せてご覧ください。

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