2024年3月21日
LECS・ミンクリア開発秘話と比企直樹先生の思い
みなさんこんにちは!
最新の1489magazine「医の最前線より」にご登壇いただきました
北里大学医学部の上部消化管外科学 主任教授の比企直樹(ひきなおき)先生。
今回は更にお話を伺うべく、弊社代表取締役会長の森田が比企先生のもとを訪れ、対談を行ってきました!
LECSは比企先生が考案された新しい胃の手術法で、
腹腔鏡と内視鏡を使い、胃の内部と外部の様子を同時に見ることで、病変のみを摘出することが可能な術式です。
胃の病変というのは大抵、胃の内部にあります。
従来通りの腹腔鏡のみを用いた手術は、内部にある病変を直接見ることはできず、過剰に胃壁を切除してしまう、病変を取り残してしまう等の課題がありました。
そこで比企先生は確実に病変だけを切除する方法を模索する中で、ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)の技術を応用することを考えました。
ESDとは、内視鏡を使用し、病変を正確にマーキングして的確にはがしていく手術です。
LECSではこのマーキングを置く技術を応用し、内科医が胃の内側から切除部分を示し、内視鏡で内科医、腹腔鏡で外科医が、
それぞれ切りやすい箇所を切っていきます。
このように内科と外科の技術を融合させることで、世界で初めて、病変だけを切除することが可能となりました。
LECSは現在日本のスタンダードな術式となっており、世界でも注目が集まる手法です。
今や内視鏡検査には欠かせない、胃の蠕動運動を止める働きのある薬剤 ミンクリア
この薬剤が開発される前には、ブスコパンやグルカゴンといった注射薬が使用されていました。
しかしこれらの薬には、患者さんの持病によっては使用できなかったり、持病が無くとも副作用が起きたりと課題がありました。
これらの問題を解決したいと考えていた比企先生は、たまたま聞いていたラジオ番組からヒントを得たそうです。
そのラジオでは、ゲストとして出演していたミミズの解剖学者の方が、
「ミミズの解剖をする際は、ミミズをハッカ水に漬けると痺れたように動きを止めるから、生きたまま解剖ができる」
という話をしていたのです。
これを聞いた比企先生は、「ミミズの蠕動運動と腸の蠕動運動は同じ動きである」という大学時代に習った知識を思い出され、
ハッカ水で胃の蠕動運動を止めることができるのではないかとお考えになりました。
治験の結果、比企先生の予想通り胃の蠕動運動は止まりました。
ハッカは副作用がなく、胃に直接撒くため注射のような痛みもなく、胃の蠕動運動を止めることができたのです。
既存薬の課題を見事に克服する世界初の発見となりました!
このように、豊かな発想力で新たな技術や薬剤の開発という大きな業績を残された比企先生。
現在は、医師として術式や薬剤の開発、外科手術を行うだけでなく、上部消化器外科学の主任教授として、外科医の将来についても考えていらっしゃいます。
以下では、対談でお話しいただいた外科医の将来について、一部を抜粋してご紹介いたします。
森田「今後医療提供体制が変化していく中で、外科医はどのような対応をするべきだと思いますか?」
比企「外科医の数は年々減少しており、特に私の専門である消化器外科医については、
消化器学会の会員の減少割合を考えると、4年後には25%もの医師が減ることが予想されます。
今後、癌患者さんが増加すると思いますが、その手術に対応できる医師が足りなくなってしまいます。ですので外科医を増やさないといけない。
しかし、大学では外科を志望する若手の医師が激減していて、まったく入局してこないケースもあります」
森田「政府主導の働き方改革が四月から始まると、より一層外科医の不足が深刻化すると思うのですが」
比企「そうですね。労働時間の制限により、非常勤の医師として別の病院で働くことができなくなって給与が下がってしまいますから。そもそも、侵襲性の高い、もしくは命に関わる診療をする科目と、そのような診療を行わない科目で給与が変わらず、自由診療を行う美容形成では給与は2.5~3倍です。これを受けて若手医師は当然そちらに流れていきます」
YouTubeチャンネルでは、こちらのお話の続きの他、この記事では触れていない比企先生の経歴やドイツのウルム大学に留学されたきっかけ、癌研究会有明病院での経験、医師としての人生観等についてたっぷり語っていただいております。
ぜひこちらも併せてご覧ください。
弊社が発行している1489magazine(イシヤクマガジン)の最新号では、
LECSやミンクリアのより詳しい開発の経緯、腹腔鏡手術の問題点を発見された際のお話、
比企先生の研究に対する原動力に関するお話をインタビューにてお答えいただいています。
気になる方はぜひ1489magazineをお読みください。
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