1489ブログ

2024年4月5日

地域医療構想による医療提供体制の再構築~医療業界の今後の展望~

みなさんこんにちは!

本日は、医歯薬ネットのYouTubeチャンネルにアップロードした
「【混迷を深める医療業界】公費(税金)に依存する医療業界は、格差拡大が到来」でお話している
地域医療構想」についてお話しいたします。

地域医療構想の概要

地域医療構想とは、中長期的な人口構造の変化(一時的に高齢者が増え、生産労働人口が減っていく)や
地域の医療ニーズの質・量の変化を見据え、
医療機関の機能分化・連携をすすめ、良質かつ適切な医療を効率的に提供できる体制の確保を目的とした医療提供体制の見直しのことです。
各構想区域で地域医療構想調整会議を行い、各医療機関が役割を話し合い、地域医療で果たす役割の分担・合理化を図ります。

下記では、地域医療構想の制度や進捗状況を、第107回社会保障審議会医療部会の資料を参考、引用しながらご説明いたします。

病床機能報告制度:医療機関の役割を明確に

病床機能報告制度は、各医療機関が医療機能の「現状」と「今後の方向」を4つの選択肢から自ら1つ選び、都道府県に報告する制度のことです。
これによって各医療機関の役割を明確にし、医療機関の役割分担、合理化へと活用します。

  1. 高度急性期機能:急性期の患者に対し、状態の早期安定化に向けて、診療密度が特に高い医療を提供する機能
  2. 急性期機能:急性期の患者に対し、状態の早期安定化に向けて、医療を提供する機能
  3. 回復期機能:急性期を経過した患者への在宅復帰に向けた医療やリハビリテーションを提供する機能
  4. 慢性期機能:長期にわたり療養が必要な患者を入院させる機能

引用:第107回社会保障審議会医療部会「地域医療構想の更なる推進について」
https://www.mhlw.go.jp/content/10801000/001230825.pdf

地域医療介護総合確保基金:補助金による制度推進

消費税を財源として、各事業者に補助金を配ることで、各都道府県が必要とする病床数への調整を促すねらいがあります。

地域医療構想調整会議の進捗

  • 地域医療構想の推進に係る年度目標の設定状況

全体の7割が目標設定をしていて、3割が設定をしていません。

設定ができない明確な原因を報告するように求めていることから、政府はこの取り組みを確実に進めていこうとしていることが伺えます。

 

  • 令和5年度末時点の対応方針の策定率の見込み

全体の85%が「対応方針の策定率が100%」または「対応方針の策定率は100%となる見込み」と回答しています。一方で、15%は「対応方針の策定率は100%とならない見込み」と回答しています。
こちらの項目も「地域医療構想の推進に係る年度目標の設定状況」と同様に、「対応方針の策定率を100%にできない理由」を明確に報告させていることから、有耶無耶にせず、きちんと地域医療構想を進めていく気概が伺えます。

このほかにも、再検証対象医療機関における対応状況・外来医療の議論状況・在宅医療の議論状況等の報告もおこなわれ、徹底的に地域医療構想を進めていく姿勢が感じられます

では、政府が医療提供体制の見直しを実直に進めている理由はなんでしょうか。

不安定な医療業界を今後も維持するために

それは、将来にわたって日本の医療体制を持続可能なものにするためです。

医療業界は、公費に支えられている側面があります。
そして、医療を支えている日本の経済状況は、円安が進み、貿易収支の赤字が続き、生産労働人口減少によって税収が不足し、悪化傾向にあります。
このような財政悪化の状況下では、現状の医療体制を支えていくことが困難です。
医療提供体制を見直すことで、長期的にも持続可能な医療体制を確立することが求められています。

 

地域医療構想の今後の課題

ここまで、地域医療構想の概要や進捗についてお話ししてきましたが、最後に今後の主な課題を5つご紹介します。

  1. 全体として2025年の病床必要量に近づいているが、構想区域ごと・機能ごとに乖離が見られる
  2. 外来や在宅医療を含めた医療提供来制全体の議論が不十分
  3. 在宅を中心に入退院を繰り返し最後は見取りを要する高齢者を支える医療を提供するため、かかりつけ医機能の確保・在宅医療の強化・介護との連携強化が必要
  4. 2040年までみると、地域ごとに人口変動の状況が異なるから、それぞれの地域に合った体制が必要
  5. 生産年齢人口の減少がある中、医師の働き方改革を進めながら、地域で必要な医療提供体制を確保する必要

 

このような課題に対して政府は、「病院のみならず、かかりつけ医機能や在宅医療、医療・介護連携等を含め、地域の医療提供体制全体の地域医療構想として検討」することを予定しています。

引用・抜粋:第107回社会保障審議会医療部会「地域医療構想の更なる推進について」
https://www.mhlw.go.jp/content/10801000/001230825.pdf

 

地域医療構想が進む中で求められるのは「大型クリニック」

このように地域医療構想が進むと、クリニックの持つ役割は以前よりも大きなものとなっていきます。
たくさんの患者さんを受け入れることができる規模で、病院並の検査を行うことができる大型クリニックが台頭することが予想されます。

複数診療科、複数医師でのクリニック開業をお考えの先生方はぜひ弊社のオンラインセミナーをご覧ください。
創業から21年間医院開業支援を行ってきた弊社と共に、これからの時代に求められるクリニックをつくりましょう。

無料オンラインセミナーのお申込みはこちら


今回ご説明した内容は、こちらの動画でさらに詳しくお話ししております。
併せてご覧ください。

ishiyaku-admin

関連記事

セミナーへの
お申し込みは
こちら!
ページトップへ