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2025年2月21日

【クリニック開業】補助金・助成金制度って使えるの?

<目次>

1.補助金・助成金制度って使えるの?

1)クリニック開業に使えるとされる補助金制度等

2)実際に使える助成金

・キャリアアップ助成金

2.クリニック開業後に使える補助金・助成金

・IT導入補助金、キャリアアップ助成金

3.まとめ

―――――――――――――――――

1.補助金・助成金制度って使えるの?

皆さんこんにちは!医歯薬ネットです!
本日は開業時に使える補助金・助成金についてのお話です!

弊社が開業支援させていただいているドクターからも多く問い合わせいただく事柄でもある「補助金・助成金」問題。

(いざ蓋を開けてみると、クリニック開業に使えると謳われている制度の中には認められるハードルが高いものも多く、実際に活用するのは難しい制度も散見されます……

補助金って概要や要綱が公開されていても、いまいち「自分はこれに該当するのか?」「資料準備が大変そうでよくわからない」

このような悩みを抱えるドクターは非常に多くいらっしゃいます。

クリニック開業には、

不動産契約・建築費用(テナントの場合は内装費)・医療機器の購入と、「開業資金(初期投資)」が何かと必要になってくるものです。

融資を受けながらやり繰りするとはいえ、負担割合を少しでも軽減できるなら是が非でも活用したい……!
そう考える先生方はきっと多いはず。

そこで今回は、
巷でよく目にする「開業医が使える補助金・助成金」として謳われている様々な制度に関して、
「実際開業準備に使えるのか?」
「活用しながら開業を進めたい!けれどどう進めてよいかわからない……」など、
先生方が抱く疑問と悩みにお応えすべく、お話していきます!!

1)クリニック開業に使えるとされる補助金制度等

「クリニック開業 補助金」で検索したところ、クリニック開業時に活用できるものとして名前が挙がったものを下記に列挙してみます。

  • IT導入補助金
  • 医療施設等施設設備費補助金
  • ものづくり補助金
  • 事業再構築補助金
  • 感染拡大防止支援金
  • キャリアアップ助成金
  • 人材開発支援助成金
  • 特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者雇用開発助成金)
  • 職場定着支援助成金
  • 地域雇用開発助成金
  • 創業補助金
  • 事業承継・引継ぎ補助金
  • トライアル雇用助成金

(※【2025年2月21日現在】※制度概要・名称等、随時変更の可能性がありますので、詳細は管轄自治体HP等をご確認ください。)

様々な制度の名前が挙がっていますが、まず補助金、助成金の違いに関しては、ざっくりと

補助金:主に経済産業省や地方自治体が主導しており、事業支援による社会貢献目的がメイン

助成金:主に厚生労働省が主導しており、雇用や労働環境などに重点を置いている

このような違いがあります。

2)実際に使える助成金

さて、先程列挙した補助金制度等の中で、開業時にうまく活用できそうものはどれでしょうか?

それはずばり、

・キャリアアップ助成金

です。

「これだけしかないの?」

そう思った先生方もきっと多いはず……

そうなんです。

そもそも補助金、助成金は受給者(事業者=先生方)がおひとりで申請・準備作業をしなければならない部分も多いです(補助金に関しては、不正受給等防止の観点から、第三者が主体となって申請するのは原則としてできません)。

そして言わずもがな、申請業務は非常に煩雑なものが多いです。

ただでさえ普段の診療業務等で多忙を極める中、都度発生する手間と時間の煩雑さに耐え切れず、断念される先生も少なくありません。
補助金に至っては、承認までの厳しい審査をパスするために頑張って作文をする(補助対象となる理由・根拠を明示する)必要があるものの、申請後承認が下りない・承認率がかなり低いものもざらにあります……

そして、あまりに特殊な要件がいるものなどは対象外としました。

下記に列挙するその他補助金等は、後述の通り様々な理由から、受取れない・受け取る要件が特殊でありおすすめしません。

 

クリニックを開業して間もない時期(もしくは開業準備中)でてんてこ舞いになる数年間で、本当はやらなくてもいい特別な事業(補助対象事業)等に敢えて手を出すのは、
多くの先生方に共通する、当初の開業目的「よりよい診療所を造り、理想の診療スタイルを実現すること」からずれてしまいかねないためです。

 

※一般的には「クリニック開業向け」とされる諸制度が、実際のクリニック開業時の活用に適さないとするワケ
※あくまでも、筆者個人の見解に基づくものであり、必ずしも「受取れない」「適さない」と断言するものではありませんので、参考程度にお読みください。

①休日夜間急患センター、基幹病院、高度医療を行う医療施設等を対象に「特別に」支給するもの→個人開業の診療所では、対象となりにくいです。

例) 医療施設等施設設備費補助金

②診療所が補助対象外のもの→診療報酬を受け取っている=国(独立行政法人)が支出する事業とされるため、補助の対象から外れてしまいます。

例)ものづくり補助金

③雇用に関して、「特別な」職業訓練の実施や、教育訓練受講費の助成等、一般的な診療所の新規開業に際してのスタッフ採用にそぐわないもの

例)人材開発支援助成金、特定求職者雇用開発助成金、職場定着支援助成金、地域雇用開発助成金

④そもそも現時点で補助金制度等が終了しているもの

例)感染拡大防止支援金

など、上記理由をみると、一般的なクリニック開業という状況では、あてはまりにくいかも……?と感じられる先生方もおられるのではないでしょうか。

【キャリアアップ助成金について】

キャリアアップ助成金とは、有期雇用労働者、短時間労働者、派遣労働者といったいわゆる非正規雇用の労働者(以下、「有期雇用労働者等」という。)の企業内でのキャリアアップを促進するため、正社員化、処遇改善の取組を実施した事業主に対して助成するものです。

(参照:キャリアアップ助成金|厚生労働省

助成金対象となるコースは大きく2種類に分かれます。

それは「正社員化支援」枠と「処遇改善支援」枠です。

(活用している先生方(が顧問とする社労士事務所)は、「正社員化支援・正社員化コース」を活用し、「正社員以外の雇用形態で募集、採用した労働者を6ヶ月以上雇用した後に正社員に転換させる」という手法をとることが多いようでした。)

クリニックにおけるスタッフ雇用においては、

上述のように雇用契約書や就業規則の作成、給与計算手続きなどを顧問となる「社労士」に依頼することが殆どのため、社労士事務所を選定する際に「キャリアアップ助成金を活用したい」旨を伝えて、助成金申請まで請け負ってくれる社労士事務所と顧問契約を結びましょう。

(中には、当該助成金の申請経験が皆無の社労士だと、契約後に当然請け負ってくれるものと助成金申請業務を依頼したものの断られてしまうケースも……!)

無論、弊社がご支援する先生からも「キャリアアップ助成金を活用できないか?」とお声がけいただくことはよくあります。

その際には、クリニックの顧問社労士として実績が豊富な社労士事務所をご紹介させていただきます
もちろん、キャリアアップ助成金申請に明るい社労士も多数おりますのでご安心くださいね。

2.クリニック開業後に使える補助金・助成金

ここまでは、「クリニック開業時」に使える補助金・助成金に関してのお話でした。

上記の通り、当社調べでは

一般的なクリニックの開業(個人開業)において、開業時に活用できるものとしては、「キャリアアップ助成金」のみという結論となりました。

そこで次にお話しするのは、「開業後」についてです。

つまり、開業後、開業医の皆様が利用できる補助金等に関してのお話です。

 

上述の「クリニック開業時」における申請手続きは、

いわば「開業準備中」から手続きを踏む必要があるため、

事業者としての届出書類、医療機関としての届出書類、決算書類等は当然ながらまだ手元にはない状態です。

しかし、「開業後」、上記書類がそろった段階ならば申請できる補助金があります。

それがIT導入補助金です。

IT導入補助金

IT導入補助金とは、中小企業・小規模事業者等の労働生産性の向上を目的として、業務効率化やDX等に向けた ITツール(ソフトウェア、サービス等)の導入を支援する補助金です。
対象となるITツール(ソフトウェア、サービス等)は事前に事務局の審査を受け、補助金HPに公開(登録)されているものとなります。(参照:IT導入補助金制度概要 | IT導入補助金2025より)

なお今回、IT補助金に関しては、現在進行形で、顧客からの補助金等問い合わせ対応をしている某医療器メーカーA社の営業担当者へその内情を聞くことができました。
(A社は主に電子カルテを取り扱っており、弊社でもお取引をさせていただく機会のあるメーカーです。)

※2025年度のIT導入補助金に関しての情報詳細は下記HPをご確認ください。

当該事業公式HP:トップページ | IT導入補助金2025

※「公募要領」(資料ダウンロード | IT導入補助金2025)に関しては、左記リンクよりご確認いただけます。

(なお、以下は2024年度以前の内容を踏まえたポイントとなります。
2025年度公募要領における改定等については、適宜上記規定・要領に従い、申請手続き等をお進めいただければ幸いです。)

<申請ポイント>

ずばりIT導入補助金を申請する上でのポイントは以下の通りです。

・開業後に購入したITツール(電子カルテ、自動精算機が多いようです)が適用になる

・事業者登録してからでないと手続きが開始できないため、開業前からの申請は勿論、対象物品の購入も不可(また、購入に際しては、対象となるIT事業者、ITツールを選定する必要があります)

・とにかく申請が大変、覚悟の上で書類作成(作文)に挑む必要あり

・承認が下りなくても不承認理由を教えてもらえないので、とにかくめげずにチャレンジ(なかなか過酷なようです……)

・ある意味相対評価(当然ではありますが、より説得力のある申請内容のものが承認される傾向にあります)のため、ありきたりな理由ではダメ(何となくの文章では、申請承認の難関を突破できない by A社営業担当より)

・導入前の決算3期分、導入後の決算3期分の提出(効率化に伴う収益変動等に関して、交付後もしっかりチェックされるようです)

 

以上、ざっと気を付けなければならないポイントを挙げてみました。

もうお気づきかもしれませんが、IT導入補助金は「開業前の物品(医療機器)購入は対象外」になります。

(何せ、あらかじめ導入前決算(3期分)を提出しIT導入の有用性を述べる必要がありますから、開業前に導入してしまったら、補助対象となる根拠づけが出来なくなってしまいます。)

これだけでかなりマイナスポイントと思われるかもしれません。

そのうえで、

・GビズIDの取得(わかりやすく言うと、事業者が取得できる、行政発行のIDです。申請手続きで必要となります)

・SECURITY ACTION宣言(中小企業等を対象とした、情報セキュリティ対策に取組むことを自己宣言する制度)の実施

以上を行った上で、物品購入することが必要です。
(フロー詳細はこちら新規申請・手続きフロー詳細 | IT導入補助金2025

 

なおITツールの導入に関しては、こちら(ITツール・IT導入支援事業者検索(コンソーシアム含む) | IT導入補助金2025)より検索ができます。

キャリアアップ助成金

また、先程「開業時」に使えるものとしてご説明した「キャリアアップ助成金」に関しては、

「開業時」に限定した助成金制度ではないため、開業後に活用を検討してみるのもよいでしょう。

(詳細については、先述の通り、顧問社労士事務所等に相談されることをおすすめいたします)

 

4.まとめ

いかがでしたでしょうか?

巷にあふれている「クリニック開業」向けとされる補助金・助成金制度の数々ですが、
実際使える(活用しやすい)ものはごくごくわずかです。

また、申請手続き等は一般的に、申請者(事業者)となる先生ご自身が主体となって進めていくものが殆どです。

ただ、上記の通り各補助金制度、助成金制度の細かな注意点等は、
逐次該当のメーカー担当者、士業従事者へ問い合わせながら手続きを進めていくのが賢明です。
(特に補助金制度に関しては、国が指定した事業者・ツール等でないと承認が下りません)

どこが補助金該当メーカー?どの医療器を買うべき?クリニックに強い社労士事務所はどこ?
そんなお悩みがありましたら、医歯薬ネットへぜひご相談ください。

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