開業医インタビュー 武蔵藤沢 セントラルクリニック 和田誠基院長

内分泌代謝学の専門性と人的ネットワークを武器にクリニックの更なる向上を狙う

※1489magazine vol.2―2011年1月発行号より転載

武蔵藤沢セントラルクリニック
〒358-0011 埼玉県入間市下藤沢375-1 TEL:04-2901-8155
http://mfc-clinic.jp

 

「自分らしい生き方ができる道、自分自身という資源を最大化して社会に役立たせることを目標に、起業して経営者になる道を選びました。」
こう語るのは、内分泌代謝学の第一人者であり武蔵藤沢セントラルクリニック(以下、同クリニック)の院長、和田誠基先生だ。
防衛医科大学校卒業後、メルボルン大学に留学、防衛医科大学校学生部指導教官(同第三内科兼任)、埼玉医科大学医学部内分泌代謝学講師、城西国際大学薬学部臨床医学講座教授と幅広くご活躍された後、2009年12月に同クリニックを開業。内分泌・代謝内科の単科専門診療をおこなっている。

武蔵藤沢 セントラルクリニック 和田誠基院長

開業の動機

和田院長が自身の開業について語る時のキーワードは二つ。『経営』と『専門性』だ。
「医師として働いて約20年経った頃、自分の才能と今後の進むべき方向性を考え、勢いがあるうちに次の展開に踏み出したいと考えるようになりました。今までは、給与をいただいて業務をしていたわけですが、今後は給与を支払う身となり、人生を裏と表で体感してみたいと思うようになったのです。また、自分自身が描く将来像を追い求めたいという側面もあります。臨床を通して人に役立ちたいという気持ちはありますが、勤務医として診療の現場で働く以上は幅広い疾患を診ることが求められます。内分泌代謝を自らの強みとして充実させるためにも、開業して専門性を深めるという道を選びました。」

開業地選定

西武池袋線「武蔵藤沢駅」

西武池袋線「武蔵藤沢駅」より徒歩2分の好立地

糖尿病内分泌系のクリニックは、広範囲からの集客が見込めるため、駅から近い場所で開業するのがセオリーだ。同クリニックも武蔵藤沢駅から徒歩2分の立地に建つ。
「埼玉県下の病院で非常勤として勤務していた時から、秩父や熊谷などの県下遠隔地域、県外に至っては静岡などからも、まれな内分泌代謝疾患の専門治療を求めて来院する患者さんがいらっしゃいました。このため、遠方からでも来院しやすいように駅やバイパスから近くアクセスがよい場所という条件で調査をしていただきました。最終的に、駅から徒歩2分の現在の物件にまとまった訳です。敷地面積にゆとりがある物件だったため、駐車場付きの一戸建てクリニックの建築が可能となりました。建物自体が通りに面し、宣伝広告効果もありますので、現在の物件には非常に満足しています。」

勤務医時代のバックグラウンドを生かして

武蔵藤沢セントラルクリニック

「クリニックの経営戦略を考えるにあたっては、まず自分自身をしっかりと分析することが第一です。その中で自分の強みを伸ばしていけるような戦略をたてなければなりません。私自身の強みは、糖尿病内分泌の専門性とそれを信頼してくださる多くの患者さん、大学を卒業してから開業するまでの過程の中で知り合った多くのドクターとのネットワークです。当クリニックは、このネットワークを通じて近隣の病院と多数提携しており、連携先の医療機関から患者さんをご紹介いただくことが多いのです。」
比較的早い段階から経営者となることも選択肢の一つに入れ、自身の可能性を広げるよう努めてきたと語る和田院長。勤務医時代に積み重ねてきたものを踏み台にし、地域連携や専門性を武器に成功を収めているのが見て取れる。

マネジメントの重要性

糖尿病教室の様子

糖尿病教室の様子

『人の和を大切にし、糖尿病・内分泌疾患に罹患した患者様の健康管理を担う』というのが、和田先生率いる同クリニックの方針だが、和田院長は、この言葉に込められた意味を次のように語った。

「『人の和』というのは、院長である自分を含めてクリニックのスタッフや患者さん、近隣のドクターにも波及する和のことです。近年、Customer Satisfaction(顧客満足度)がさかんに叫ばれていますが、この満足度を上げるためにはまずEmployee Satisfaction(従業員満足度)を大事にしなければいけません。当クリニックは、20代のスタッフが中心ですが、事務職と専門職のいさかいや人間関係のもつれが生じてしまわないように細かな枠組み作りをしてきました(私以外は全員女性の職場です)。具体的には、それぞれの領域に主任という立場を与えて統率して頂けるようにしたり、製薬会社のランチョンセミナーと自主学習の機会を提供してスタッフ同士が毎日顔を合わせる機会を作ったりしています(出席はポイント制で、点数がたまるとディズニーランドのチケットが家族分提供される)。また、各主任には給与とは別にコミュニケーション費用を毎月定額支出し自由に使用してもらっています。このような枠組みを利用してスタッフが張りを持っていきいきと仕事に取り組めると、一番楽になるのが上に立つ経営者です。この和は自然と広がり、結果的に患者さん満足度につながっていくと思うのです。また、ごく最近ではKJ法(※)を利用してOff Job でワークショップを開催し、考えるスタッフになる教育も提供しました。」

※意見・アイデアをグループ化し、論理的に整序して問題解決の道筋を明らかにしていくための手法。

今後の目標

今後については、自分でゼロから作り上げた枠組みを生かしていきたいと語る和田院長。
「当クリニックを作り上げるまでに収支計画やスタッフ教育など多くのことを学びました。将来的には、これらの経営ノウハウと今まで築いてきた人的ネットワークを生かして更なる向上を目指していきたいですね。」

 

Doctor’s Profile

和田先生と事務長の奥様

大学時代はラグビー部に所属しており、それ以外にもテニス、乗馬、ヨット、ウィンドサーフィン、読書と幅広い趣味を持つ和田院長。なんと、最近は趣味の一つに『経営』が加わったのだそうだ。「経営者としていい仕事をしていくためには自分自身がイキイキとしていることが不可欠ですので、心技体を万全に整えておくという観点からもリフレッシュの時間は大事にしています。」モチベーションの高さに脱帽させられる。
武蔵藤沢セントラルクリニックの事務長である奥様も教育職に就かれており、お二人のバックグラウンドを生かしてスタッフ教育に力を注いでいるとのこと。

(掲載内容は2011年掲載時のものとなります)

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