※1489magazine vol.18―2016年1月発行号より転載
桜耳鼻咽喉科めまいクリニック
2005年、つくばエクスプレスの開通にともない新しくできた「流山おおたかの森」駅。駅周辺は大型商業施設やマンション、戸建て住宅の開発が盛んで、子育て世代の転入が多い人気の街だ。
流山市で生まれ育った高峰敦先生は、2014年10月にこの地にて「桜耳鼻咽喉科めまいクリニック」を開業。「めまい」を掲げながらも、「鎖骨から上、脳と眼以外はすべて診る」をモットーに幅広く診療し、開業わずか1年にして院内は常に多くの患者さんたちで賑わっている。
高校時代に家族が手術を受けた時、病院内で垣間見た医師のプロフェッショナルな緊迫感に心打たれ、医師を目指すことにしたという高峰先生。
入学した東京医科歯科大学の生理学の講義で、耳の神経に興味を持った。
「内耳|中枢|眼筋とリンクした精密な平衡システムをもっていることに惹かれました。耳鼻科ならその気になれば開業もしやすく、将来の身の振り方が選べるところもよかったです」
耳鼻咽喉科に入局後、豊島病院、土浦協同病院といった地域の基幹病院を回り、4年目に北海道名寄市の臨生会吉田病院に行くことになった。
「そこは医局の先輩がやっている耳鼻科の専門病院で、生活も首都圏から北海道に一気に切り替わりました。帰ってきて大学の勤務に戻ったのですが、北海道での生活の印象が強く、退局して北海道のその病院に就職したのです」
臨生会吉田病院のサテライトクリニックである稚内市の吉田耳鼻咽喉科クリニックの院長・管理者も兼任しながら、北海道での生活が始まった。名寄市では専門である神経耳科を担当しながら関連する甲状腺疾患、歯科口腔外科の症例も学び、多例の診療に携わった。稚内ではクリニック運営の経験を得、周囲200㎞圏内に耳鼻科の医師は自分だけ、という期間も経験した。スキーやキャンプなどのアウトドアも楽しみながら、仕事・プライベート共に充実した生活を送ることができたという。
「10年以上を北海道で過ごしている内に、私の両親も歳をとってきたので首都圏に戻ることにしたのです。戻ってからは三郷中央病院で勤務を始め、急性期とめまいの患者さんを中心に診療に取り組んでいました」
再び始まった首都圏での生活にもすっかり慣れた頃、開業を意識し始めたという。
「急性期メインの仕事は体力的に厳しく、いつか対応できなくなる時期が来る。そうなる前に、自分の実力、体力に応じて働ける環境を自分で作らねば、と思いました」
そんな頃1489magazineが届き、近くで開業セミナーが開かれることを知って気軽な気持ちで参加してみたという高峰先生。その後医歯薬ネットの支援により開業準備を進めることにした。
「自分の希望や理念だけで開業を想定するのではなく、しっかりとした経済的基盤をもたなければいけない、とセミナーで開業についての話を聞いて感じました。開業準備のすべてを自分でやることは不可能なので、信頼できるパートナーを選ぶことは必須だと思います」
医歯薬ネットの担当者による開業物件探しが始まった。高峰先生の希望は埼玉県三郷市、またはそれに隣接し、ご自身の出身地であり現在の住まいもある千葉県流山市だった。担当者から提案された物件の1つに流山おおたかの森駅から徒歩3分、駅前の高島屋SCが2013年に新たに建てた「ハナミズキテラス」があった。
「この周辺のエリアに人が増えるという見込みがあって、新しく建てたのだろうと思いました。また、私の家がここから車で10分くらいのところで、ちょうどよい距離感だったのです」
2014年10月、ハナミズキテラスの3階にて開業した「桜耳鼻咽喉科めまいクリニック」。経営はすぐに軌道に乗った。
「10月に開業して、年を越して花粉症シーズンになった頃から患者さんがぐっと増えました。そのうちめまい診療を積極的にしているというのが知られてきて、めまいの患者さんも口コミで増えてきました。しかし一番多いのは子供の患者さんですね」
流山市が子育て世代の支援に力を入れていることもあり、流山おおたかの森周辺は小児人口が増え続けている。2015年にはクリニックの近くに小中併設校も新設された。クリニック前面道路の向こう側にある駅の西口は現在整備中で、整備が終われば駅からのクリニックの視認性は格段に向上する。これまでは駅の反対側の開発が著しかったが、今後はクリニックがある西口側に開発の主体が移ってくることで、クリニックにはさらに患者さんたちが集まってくると思われる。
「こういう時にここにオープンできて幸運でした。駅からこのクリニックまでは直線距離は短いのだけれど、今は直結していないので少しわかりにくいんです。整備が終われば、駅から出てクリニック前の交差点まで直結し、駅からクリニックがすぐわかる状況になります。そうなって初めてここでクリニックをはじめた意義が達せられると思いますし、開業時はそれまでどうにかクリニックを維持できればと思っていました。
実際は思った以上に経営が順調で、今もかなり患者さんの待ち時間が長いので、待ち時間短縮に苦労しているくらいです。X線室にCTを置くスペースだけ設けていて、経営が軌道に乗ったらCTを入れようと思っていたので、次のステップはCTを導入することですね。開業時に借りた資金も早目に返済できそうです。
医師として、仕事、プライベートが一番充実するのは50代だと思いますが、50代を資金の心配なくフルにエンジョイするためには、開業はできれば40くらいでした方がいいと思います。開業する気があるのなら、一刻も早く、です」
クリニック名に「めまい」を入れたのは、「めまいを診る」という決意表明だという高峰先生。めまい平衡医学会の「めまい相談医」の認定も受けた。千葉県内で大学病院以外のめまい相談医は高峰先生を含めてわずか3名。めまいを積極的に診ようとする医師はあまりにも少ない。
「神経耳科を専門とする医師は、たとえ受診した患者さんの病状が耳科的なものではなくても、自分の技量を広げ、積極的にかかわっていくべきだと思います。耳鼻科で否定され、循環器科、脳外科、心療内科で否定され、行き場がなくさまようめまい患者さんは多数います。そんな行き場のないめまい患者さんたちを、私はどんどん引き受けていきたいです。
手術がうまい医師はいくらでもいますが、苦手とする医師が多いめまいのような疾患を扱うことに非常にやりがいを感じています。自分の名前で患者さんが集まってくれるのも、開業の喜びです」
(掲載内容は2016年掲載時のものとなります)
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