開業医インタビュー 川邉整形外科クリニック 川邉昭仁院長

代々続く接骨院の家系に生まれ、先代からの夢である整形外科クリニックを地元で開業

※1489magazine vol.19―2016年5月発行号より転載

川邉整形外科クリニック
〒296-0001 千葉県鴨川市横渚267-1    TEL:04-7092-3100
http://kawabeseikei.com/

 

千葉県房総半島の南東部、太平洋側に位置する鴨川市。
この地で代々引き継がれてきた接骨院を営む川邉家の長男として生まれた川邉昭仁先生は、2014年に川邉整形外科クリニックを開院、開業医として日々地元の医療に貢献している。

川邉整形外科クリニック川邉院長

5代続く接骨院の長男に生まれて

川邉整形外科

2階は自宅。駐車場も広い

鴨川で明治後期から続く歴史ある接骨院として地元からの大きな信頼を得ている川邉家。5代目にあたる長男として川邉昭仁先生は生まれた。
実家と同じ敷地にある接骨院は、以前は外来だけでなく入院患者も受け入れていた。そのため、常に周りに患者さんがいる生活が当たり前だったという。

「小さい頃は入院患者さんによく遊んでもらいましたし、家族全員で患者さんのサポートをする姿を見て育ってきましたので、小さい頃から自然に『将来は自分も』と思っていました。ただ、接骨院という枠に留まらず、一族から医師を出し、地域のためにさらに貢献することが初代からの願いでしたので、自分は柔道整復師としてではなく、医師になる道を選びました。接骨院の5代目は弟が継いでいます。私の開業により、弟と二人で力を合わせてさらに地域に貢献する、という川邉家の新しい一歩を踏み出したのです」

地元鴨川での開業

川邉先生は岩手医科大学を卒業後、地元鴨川の基幹病院である亀田総合病院で初期研修を終え、同院整形外科に入局した。この辺りで唯一の救急医療機関であるため、外傷に関連した緊急手術が多く、野戦病院で働いているかのような非常に忙しい日々だったという。その後、川崎市の日本鋼管病院にてスポーツ・関節鏡を学んだ後、館山市の安房地域医療センター整形外科の立ち上げに関わった。
「以前あった安房医師会病院がなくなってしまい、亀田総合病院が主体となり安房地域医療センターを立ち上げることになりました。整形外科病棟・手術を再開し、センターが軌道に乗るまで奔走しました。医師として自分を育ててくれた亀田総合病院のために少しでもお役に立てればという気持ちがありましたので、センターが軌道に乗ったのを区切りに、当初から希望であった開業に踏み出す決意をしました。30歳台での開業を目標としていたのですが、何とかギリギリ間に合い、39歳での開業となりました」

開業準備を進めようと思っていた時、医歯薬ネットのセミナーが千葉で開催されるのを知り、最初は話を聞くだけのつもりで参加してみたという。
「医歯薬ネットのコンサルタントに『地元で開業したい』と伝えると
『正直、人口の少ない鴨川での開業はあまりお勧めできない』と言われました。
開業した後のことを考えて率直にアドバイスをくれたので、逆にここならば信用できるのかも、と感じました」

主要道路の交差点に立地

鴨川の主要な幹線道路が交わる場所にクリニックは立地

そこで医歯薬ネットと開業支援契約を結び、開業準備が始まった。
当初は人口が多く、将来性の見込める他の地域を勧めていた担当者も、地域とともに歩んできた川邉家の歴史を聞き納得し、それならば、人口の少ない地域の中で最も開業に適した物件を探そうということになった。

「実家の接骨院と同じ敷地で開業することも考えていたのですが、あまり近すぎても患者さんが被ってしまうということと、実家は鴨川の旧市内にあって道路も狭いので、少し離れた交通の便がよいところで開業しようということになりました」

リハビリテーション室

クリニック内で一番眺めが よい場所にあるリハ室は前面をガラス張りにした開放的な空間

そこで紹介されたのが、鴨川の主要な施設が立ち並ぶ国道128号線と長狭街道の交わる場所にある、JAの跡地であった。背後には田園・長狭高校の広大な敷地が広がっており、景観もよい。交通の便が良いため隣接する町や市からも患者さんが通いやすく、これにより実家の接骨院とも住み分けができているという。

「鴨川にはこれまで整形外科専門のクリニックがなかったのです。この周辺で整形外科入院・手術対応のできる医療機関は亀田総合病院と鴨川市立国保病院の2つだけで、他に外来のみの病院が2つあるだけでした。大病院の外来は基本的には午前中のみですし、手術患者や救急患者への対応が診療の主体となります。当院のような整形外科専門のクリニックが開院して、より身近で、午後にでも気軽に受診できる場所ができたのです」

開業医として地元に貢献

川邉整形外科クリニック受付

白と木目を基調としたクリニック。本物の木の風合いが美しい

地元で知られた川邉家がクリニックを開業したということで、立ち上がりは早く、経営はすぐに軌道に乗った。人口が少ないため、患者数が頭打ちになるのが早いことも開業前から予想されていたが、祖父母から子、そして孫と家族ぐるみで来院される患者さんが多く、リピート率も高いことから経営は順調だ。また、患者さんにより密な医療を提供するため、スタッフには地元の人を採用している。

「田舎という地域柄もあるのか、手術を怖がり、絶対手術したくないと考えている年配の患者さんも多いのです。そのような患者さんには『完治は難しいかもしれませんが、少しでも痛みを和らげられるよう、一緒に頑張っていきましょう』とお話し、当院でできる限りの保存治療を行っています。同じ地域の者として親身に患者さんに接し、気軽にご相談いただけるような『町医者』でありたいです」
川邉整形外科クリニック待合

大きな収益を上げるよりも、一人一人丁寧に診療したいという川邉先生。年配の患者さんから、「子供の時、先生のお爺さんに診てもらったことがあるのですよ」といわれることも多く、先代から地域医療に携わっている実感が得られて感慨深いという。その開業医の仕事と生活を支えてくれているのか家族やスタッフだ。

「開業は自分一人でできるものではありません。自分の志に共感し、共に創り上げることに努力を惜しまない家族の存在、そして大切な仲間を見つけることが一番大切です。夢の実現には周りの助け・協力が必要不可欠ですから、日々の感謝を忘れないようにしています」

(掲載内容は2016年掲載時のものとなります)

 

Doctor’s Profile

弊社が開業支援をさせていただきました

開業の事情は先生により様々です。今回ご紹介させていただいた川邉院長のように、地元での開業が条件である中でもよりよい経営できるよう方針を定めることが必要です。弊社は開業地探しから開業後の経営相談・会計顧問業務まで一貫してサポート。開業準備がスムーズに進み、開業後の経営も安心です。
開業をお考えの先生は、まずは弊社開業セミナーにて開業に関する知識を得てみてください。

 

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