開業医インタビュー 牧の原なのはな耳鼻咽喉科 増野 聡院長

勤務医時代の経験を投入し、患者が集まるクリニックをつくる

※1489magazine vol.27―2019年1月発行号より転載

牧の原なのはな耳鼻咽喉科
〒270-1337 千葉県印西市草深2220-31    TEL:0476-45-1187    http://www.nanohana-jibika.jp

 

東洋経済新報社が全国の都市を対象に毎年公表している「住みよさランキング」で、七年連続で一位を獲得している千葉県印西市。特に年少人口(0~14歳)増加率が高く、小さな子供がいる若い世代の流入が続いているが、それに対し医療の供給は不足している。
印西牧の原駅の南にある「牧の原なのはな耳鼻咽喉科」は、このエリアの貴重な耳鼻咽喉科クリニックとして、開業直後から多くの患者が来院し続けている。両親とも日本医科大学耳鼻咽喉科の出身の開業医という院長の増野先生は同医局に入局後、15年にわたる大学病院での勤務を経て、2017年5月にクリニックを開設した。

院長増野先生

大学病院での勤務

両親の後を追って日本医科大学に入学後、同大学の耳鼻咽喉科に入局した増野先生。医局員時代は千駄木の付属病院、武蔵小杉病院、多摩永山病院、千葉北総病院の付属4病院全てで勤務し、多くの手術も手掛けた。また、恩師である現在の主任教授、大久保公裕先生との出会いを通して2002年からスギ花粉症に対する舌下免疫療法の臨床研究に携わった。
2014年から千葉北総病院で勤務を始め、保険診療として認められたばかりの舌下免疫療法を地域に広める指導的役割を果たしていたが、母親の体調の悪化で開業を決意した。
「私は大久保教授の人間性に惚れ込んでいたので、教授の任期が終わるまでは自分も一緒にやって、その後に開業しようと考えていたのです。ですから本来はまだ七年先位だったのですが、母の体調が悪くなって、大学の勤務を続けられず、開業を決意せざるを得なくなりました」

開業する時は自分の力で今の医療にマッチした新しいクリニックを作ろうと思っていた増野先生。数年前に開業した同期の医師から医歯薬ネットの事を聞き、2016年1月に医歯薬ネットのセミナーに参加した。
「教授に隠れて準備をしたくなかったので、まず家庭の事情で止む無く開業に踏み切ることを教授にお話ししました。決意はかたまっていたので、医歯薬ネットのセミナーに参加した時には初日から『この辺りでの開業を考えているんだけど』と具体的な話が始められました。
料金についても明確だったので、契約金の5万円は、もしこの会社で開業に至らなくても授業料と思えば良いと判断し、その場で契約まで進めました」

開業準備を進める

クリニック周辺環境

前面道路は生活道路で向いは生徒数の多い小学校

開業地として増野先生が当初考えていたのは、勤務経験がある千駄木、多摩、武蔵小杉、浦安、印西の5つのエリアだったが、医歯薬ネットの担当者からは集患の観点から印西を勧められた。
「当時私は千葉北総病院に勤務しており、印西市に単身赴任だったので、このエリアの事はよく知っていました。人口の増加に医療環境が追い付いてないニュータウンエリアであり、医師としての私を一番必要としてくれるのもこの土地であったというのも大きな要因でした」

牧の原なのはな耳鼻咽喉科外観
印西市の耳鼻咽喉科は千葉ニュータウン中央駅の北側の一件のみだったので、なるべく競合を避けて隣の印西牧の原駅の南側を選んだ。
戸建ての建築が進む住宅地の中心で、周囲に既に内科、産婦人科があり医療施設の集まるエリアとして認知されており、前面道路は住民がメインで使用する生活道路で、向かいには小学校もあるという好条件だった。

「敷地が700坪と大きかったのですが、迷った末に全て借りました。患者の回転の速い科ですから駐車場は広すぎて困ることはないし、そのうち活用法も出てくるかもしれない。クリニックの建物も、友人から『もうちょっと広く作っておけばよかった』という声をよく聞いていたので、最大限に大きく作りました。患者さんをスムーズに誘導するために広めの中待合を作り、状況によって用途を変更する多目的室も作りました。院長室は広くて快適ですし、スタッフのスペースも広くとっています」

開業して

2017年5月15日に開院した牧の原なのはな耳鼻咽喉科には、開業直後から多くの患者が訪れ、今も増え続けている。
千葉ニュータウンの属する牧の原エリアは荒れ地だった土地に戸建てが次々と建ち、子育て世代が急速に流入しており、子供の患者が多い。競合する耳鼻咽喉科も遠いことから、初期から来院数が多い事を想定して開業準備が進められた。待合室

「私は日本医科大学多摩永山病院で四年間医局長を務めましたが、いつも『仕事を効率化するにはどうすればいいか』を考えていました。人数が少ない医局で、医局員の能力にも偏りがあり、その中で大学病院としての役割を果たしながら売り上げも求められる。でも、医局員が仕事を頑張れるようにQOLも上げたい。そのためには効率化が最重要課題であり、外来診療をスムーズにするために予約システムの見直しや誘導スタッフの増員など、病院と粘り強く交渉しながら改善しました。
また、大学の保険委員会で医療保険について学び、医療情報システム委員会で電子カルテについて学びました。そうした大学での医療と関係ない雑務を頑張ってやってきたことが、今回の開業では大いに生きています」
検査室クリニックでも大学病院の一般外来と同程度の水準を目指した増野先生は、聴力やめまいに関する多種の検査を行うために防音仕様の検査室を作り、近隣の印西総合病院と連携してCT・MRIの画像検査も行っている。
クオリティを保ちながらも多くの患者さんを診察するために、様々な工夫がなされている。

「日本医大の初診外来を長くやった経験が生きています。私は診察で患者さんに『何が一番辛いのか』『どうしてほしいのか』に焦点を絞って問診し、診断に必要な検査は総てやりながら結果を説明して、診断名をきちんと告げてその治療方法を説明しています。当たり前のことですが、教科書通りにきちんと診断をつけて治療をする、それが最短距離の診療だと思います」

クリスマスイルミネーション

クリスマスイルミネーション(中庭)

スキルだけでなく、環境整備にもコストは惜しまなかった。周辺医療機関より高い給与で能力のある職員を集め、ハード面でも受付の効率化のため自動釣銭機を導入し、複数の患者のカルテを同時に操作するため診察室に電子カルテを2台並べた。それらによって多くの患者さんを効率よく診療でき、少ない待ち時間で済んでいるという。

「もう一つ私が診療で心掛けているのは、診療を漫然と続けずにきちんとゴールを目指すことです。外科手術が必要な患者にはきちんと手術で治癒する可能性があることを説明し、出身校の日本医科大学千葉北総病院にこだわらず、周辺病院の得意分野を考慮しながら東邦大学医療センター佐倉病院、東京慈恵会医科大学附属柏病院、千葉徳洲会病院、聖隷佐倉市民病院などに振り分けます。
また、当院で確定診断に至れない患者には『ちょっと様子を見ましょう』とは言わず、必ず診断までたどり着けるように、耳鼻科にこだわらず紹介状を書きます。当院では対応できなくても、必ずその患者の問題を解決してくれる医療機関への紹介まで責任を持つようにしています」

開業医になるということ

ハロウィンの仮装

ハロウィンの仮装

印西市の人口は依然として増加傾向にあり、医院の業務はますます多忙となる。医療の質を落とさずにより多くの患者さんに対応していくことが当面の課題だという。

「医療だけやっていればよかった勤務医が、経営者としてのスキルも身に着けて開業するには物凄くパワーが必要です。その壁の前で怖気づいてしまう医師もたくさんいる。その壁を乗り越える手伝いをしてくれたのが医歯薬ネットだったので、感謝しています。
今後は医療法人となり、友人・後輩たちが合流してクリニックを増やしていく予定ですが、引き続き医歯薬ネットにもお力添えをいただいて、医師・スタッフ・患者さんの全てが喜ぶ医療機関を目指していきたいと思います」

(掲載内容は2019年掲載時のものとなります)

Doctor’s Profile

【所属学会・資格】:日本耳鼻咽喉科学会(専門医)、日本鼻科学会、日本アレルギー学会(専門医)、日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー学会
補聴器適合判定医、免疫療法登録医

弊社が開業支援をさせていただきました

開業で最も重視するポイントを実現するため、必要があれば開業医師の希望を理解した上で、踏み込んだ提案も行うのが医歯薬ネットの開業支援です。今回の増野先生のように、その医師の能力がより発揮できると思われる開業地があればご提案し、物件を探索します。開業後も会計顧問業務でサポートを続け、医療法人設立に向けたサポートも行うため安心です。開業をお考えの先生は同封のご案内をご確認の上、まずは弊社セミナーにご参加ください。

 

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