開業医インタビュー 守谷こどものこころとからだのクリニック 永吉 亮院長

地域の子どもと子育て中の家族を支援すべく地元守谷にて開業

※1489magazine vol.34―2021年6月発行号より転載

守谷こどものこころとからだのクリニック
〒302-0132 茨城県守谷市松並青葉4-2-3  TEL:0297-45-4192    https://mcmpclinic.com/

 

茨城県守谷市、つくばエクスプレス「守谷駅」より徒歩約10分の新しく開発された住宅街の入口に、2019年3月に開業した「守谷こどものこころとからだのクリニック」。
一般小児科の診療はもちろん、院長の永吉亮先生の専門である児童思春期精神科の専門診療も手掛けるという特色を持つクリニックだ。開業直後から着実に患者数が増え、開業2年で医療法人化を達成、コロナ禍にあってもクリニックの患者数は増え続けている。

院長永吉亮先生 ロゴマークの緑は「健やかな成長」という花言葉を持つ植物、グリーンネックレス。児童虐待防止運動のシンボルであるオレンジリボンのオレンジと自閉症のシンボルカラー、ブルーを採用。

児童思春期精神科を専門に

永吉先生は聖マリアンナ医科大学での学生時代、臨床実習で小児科の面白さを知ったという。
「臨床実習で色々な科を回った中で一番楽しかったのが小児科でした。それまでは外科に憧れていたのですが、実習で子どもと接することがとても楽しくて、自分は小児に向いているなと感じました。小児外科も検討したのですが、初期研修を経験して最終的に小児科に進むことに決めました」

土浦協同病院小児科での後期研修がきっかけで、精神科の領域に関心を持った。
「土浦協同病院には年に何人か虐待のお子さんが来院していました。その中で、病院に原因不明の症状で入院した女の子が、結果的に虐待を受けていたとわかったので精神科に紹介しました。しかし、本人の精神科に対する抵抗感が強く、通院が途絶えてしまいまったのです。当時は虐待は自分たちの仕事ではないという医師が多かったのですが、このことがあって、扱える小児科医がいないのなら自分がやろう、と思いました。それで虐待医学を学ぶことに決めたのです」

調べてみると虐待は児童思春期精神科領域で扱っていることがわかったため、日本一の病床数を持つ東京都立小児総合医療センターの児童・思春期精神科で2年間研修した。
その後は千葉愛友会記念病院でこの領域も担当しつつ、病院がある流山市で要保護児童対策協議会専門委員や、就学支援委員会の専門委員、いじめ対策第三者協議会委員などを請け負うことで、市中の児童虐待対策に努めた。

「私が市の協議会などで専門的な見解を伝えていくうちに、市の職員さんの虐待対応がレベルアップしていって、しっかりとした対応ができるようになりました。一方で私は出身である茨城が好きでいずれは戻りたいと思っていたので、流山でなく茨城でこれがやれたら、と思うようになりました。心理士さんに来てもらってプレイセラピーをやりたいと思っても、病院では実現が難しかったこともあり、だんだんフラストレーションが溜まっていきました。
その頃に子どもが生まれたので、家族の将来のことも考えると、茨城に帰って自分のやりたいことを実現するのなら開業が一番いいのではないかと思うようになりました。その頃に1489magazineが届いたので、とりあえず医歯薬ネットさんの開業セミナーに参加してみることにしたのです」

守谷こどものこころとからだのクリニック

左がこころの診療スペース、右がからだの診療スペースという両翼をもつクリニック

まずは話だけ聞いてみよう、と2016年につくばで開催された医歯薬ネットのセミナーに参加してみた。

「自己資金を考えると開業は難しいとも思っていましたが、セミナーで自己資金があまりなくても開業できるということを数字で示してくれたので、セミナー後に開業について改めて真剣に検討しました。その結果、開業してもやっていけそうだと考えて、妻と一緒にもう一度セミナーに参加しました」

「二度目のセミナー後の個別相談の時間に、当時茨城県を担当していた会計事務所の佐藤所長(現医歯薬ネット代表取締役社長)が、開業後の収支について、厳しく見積もってもこれくらいだと出してくれました。その数字が具体的で説得力があって、これなら開業できると思って医歯薬ネットさんと契約し、開業に進むことに決めました」

地元守谷で開業物件を探索

地元である茨城に強い思い入れがある永吉先生は、幼稚園の頃から住んでいた守谷市で開業しようと考えた。
守谷駅はつくばエクスプレス線で秋葉原から最短32分とアクセスがよいことから、守谷市の人口は増え続けており、子どもの人口増加率はつくばエクスプレス沿線内で第一位である。市の常総線の東側エリアでは区画整理事業が行われ、松並青葉地区として新たな住宅地の造成が進められていた。

「守谷は地元なので土地勘があり、事情をよくわかっていました。つくばエクスプレスが通ってから人口が増えていて、松並青葉地区にマンションや戸建住宅が建てられることも知っていました。守谷市内にはすでに4つの小児科クリニックがあったのですが、すべて常総線の西側にあり、こちらの松並青葉地区がある側にはなかったので、この地区で物件を探してもらうことに決めました。守谷市の都市計画や人口の推移も確認して、ここでなら開業しても大丈夫だろうと考えました」

クリニック立地

新しい住宅街である松並青葉地区に立地

永吉先生からの依頼を受け、この松並青葉地区内で開業物件を探索していた医歯薬ネットの担当者は、住宅の販売センターとして使われていた物件を紹介した。
販売していた住宅が完売し、退去が決まっていた物件で、住宅街の入口角地に所在し、道路を挟んで斜め向かい側にスーパーなどが入るショッピングタウンもある。この地区は区画整理で無電柱化されているため、道路からの視認性もよく、永吉先生はこの物件で開業することに決めた。

開業二年で法人化を達成

院内のプレイセラピールーム

開業物件が決まり、クリニックの建築の際にはもともと手掛けたかったプレイセラピールームを設けた。
こころの診療と一般小児科の診療を両立させるべく、こころの診療を行う専門診療とからだの診療(一般小児科)の時間を分けるなど診療の方針も決め、2019年3月に「守谷こどものこころとからだのクリニック」は開院した。

「開業してすぐはあまり患者さんはいらっしゃらないだろうと思っていたのですが、最初から来院してくださいました。視認性がよいクリニックなので、はじめは小児科の看板を見て来てくださる近所の方が多かったのですが、出していた電柱看板を見て隣の常総市、つくばみらい市から来院される方も意外といらっしゃいました。開業して半年後くらいからは、口コミの患者さんも増えていきました」

児童思春期精神科の専門診療も一般小児科の診療もどちらも順調に患者が増え続けていった。
児童思春期精神科の診療には時間がかかることもあり、一時は半年の初診待ちになっていたという。
コロナ感染拡大により、昨年春の1回目の緊急事態宣言時には来院数が少し減ったもののすぐに回復し、その後は順調に増え続け、開業2年で法人化を達成した。

「コロナにより小児科クリニックさんは患者さんが減っているそうですが、こちらは特に影響を受けていません。
この地区はまだ新しい住宅ができていて人口が増え続けていますし、近隣だけでなく、線路の向こう側からの来院も増えています。なぜ患者さんが増えているのかはよくわかりませんが、感染対策についてなど情報はこまめに発信するようにしています。説明は丁寧にするよう心掛けていて、特に子育てでつまづいているようなお母さんには、少し時間をかけてお話を聞くようにしています」

地元で虐待予防をしたいということが開業の大きな理由の一つだった永吉先生。
虐待を予防するためには子どもの支援よりも親の支援が必要であり、クリニックでの一般小児科の診療はそのきっかけになるという。

待合室

「待合室での親子関係などから、必要だと感じた場合は診察の際にお母さんに『子育ては大変ですか?』と話を振っています。看護師さんはみな子育て中なので、私が忙しい時は看護師さんがお話を聞いています。
子育ての不安や悩みに関わっていくことが虐待予防になるのですが、それをするには病院よりもクリニックの方が適していると思います。今はコロナの影響で難しいですが、将来的にはクリニック内で自治体の支援機関の人を集めて対策を話し合ったり、子育てセミナーを開いたりもしたいです」

児童思春期精神科を扱っているため、発達障害や知的障害を持つお子さんへの対処方法をスタッフ含めて心得ており、その障害を持つお子さんを連れて安心して来院してもらえることもクリニックの強みだという。

「開業してみてまだ二年ですが、開業には『場所・人・腰』が重要だと思います。
場所、つまり立地はもちろん重要ですが、人の要素が占める割合も決して小さくないと感じています。
その医師の医学のスキルに加えて、人当たりや話し方、雰囲気などが『人』で、『腰』は気軽に行ける、気軽に対応してくれる、という腰の軽さをもつクリニックであることです。
しばしば怪我をして、縫わなければいけないほど血を流しているお子さんがここに連れて来られることもあります。外科ではないので縫わなければならない外傷は対応できないのですが、その場合でもできれば私が出ていって判断し、他を紹介するようにしています。そういった姿勢を常に心掛けていますし、その姿勢は患者さん方にも伝わると思っています。場所はもちろん重要ですが、クリニックに来院してくださるためには、人の要素も重要ではないでしょうか」

診察室

「私は広告のことなども自分で考えることが好きで、Googleの広告やデジタルサイネージの広告も出しています。
クリニックが法人化できたので、小児医療が足りていない場所に分院を出すことや、保育事業の立ち上げなど、今後の展開についても今検討しているところです。
クリニックの院長、医療法人の理事長として考えることややってみたいことがたくさんあります。診療はもちろんですが、そういうことを考えるのも面白くてやりがいがあり、開業してよかったです」
(掲載内容は掲載時のものとなります)

Doctor’s Profile

【所属学会・資格など】:日本小児科学会(専門医)、日本児童青年精神医学会、日本小児神経学会、日本虐待医学会、日本虐待防止学会

弊社が開業支援をさせていただきました

クリニック開業支援の専門企業として、本格的なコンサルティングを行っている医歯薬ネット。開業の成功の鍵を握る開業場所の探索に力を入れ、開業ドクターの希望エリア内で最適な物件を探索し、ご提案します。安全に開業までサポートした後も、経営相談・会計顧問業務で関わるため安心です。今回の永吉先生のように開業が成功し、分院を検討する際にもご相談に応じます。
開業をお考えの先生はセミナー情報をご確認の上、セミナーにご参加ください。
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