開業医インタビュー 春岡通クリニック 院長 山田 哲也先生

憧れていた開業という夢を 理想の地で実現
競合クリニックとの差別化で集患力を高めたクリニック

※1489magazine vol.42―2024年2月発行号より転載

春岡通クリニック
〒464-0847 愛知県名古屋市千種区春岡通5-15
TEL:052-888-8600   https://haruokadori-clinic.com/

 

閑静な住宅街が広がる名古屋市千種区に、三角屋根が目を引くクリニックが建っている。
2020年11月に開業した春岡通クリニックは内科・外科・血管外科・皮膚科・小児科と幅広い科目を標榜するファミリークリニックで、血管外科専門医の山田哲也院長は下肢静脈瘤の日帰り手術も行っている。
コロナ禍でのご開業となったものの、現在は地域住民のかかりつけ医として順調に来患数を伸ばしていた。

何でも診られる町医者を目指して

開業医である父の背中を見て育った山田先生は、高校生の頃に医師になることを決意した。何でも診ることのできるファミリークリニックとして開業していた父の影響で、山田先生もいずれは開業したいと考えていたという。

「将来的に開業することを考え、最初は一般外科(消化器外科)に進もうかと考えました。血管外科医は今でこそ増えてきましたが当時はまだまだマイナーな科目でしたし、やったことがない領域だったので苦手意識もありました。しかし当時の血管外科グループのリーダーが非常に尊敬できる方だったことと、マイナーな科目を学んで他の人とは違う武器を持ったうえで一般外科もできるようになろうと考え、血管外科グループに入りました。ちなみに血管グループに入ってから知ったのですが、私の父も実は外科の中でも血管班だったらしく、やはり親子だから同じ道を歩むのだと納得した記憶があります」

山田先生は勤務医として血管内治療の手技を磨く中で、長年の目標であり、且つ患者さんの笑顔を一番近くで見ることのできる開業を検討するようになった。

「病院に勤めていた頃、日本に導入されていなかった血管内治療デバイスを使ってみたいとずっと考えていたのですが、実際にそれが日本に入ってきて使用できた際に、血管外科医としてやりたいことはおおよそ達成できたと感じました。そして次の目標を考えた時に、以前からの夢であった開業が思い浮かんだのです」

2018年7月に名古屋にて開催された医歯薬ネットの開業セミナー「医院開業知識集中講座」に参加した山田先生だが、医歯薬ネットに依頼する決め手となったのは医歯薬ネットのコンサルの自由度の高さであった。

「開業した知り合いに話を聞くと、医薬品卸や薬局に開業コンサルを頼んだ場合、開業後のクリニック経営に際し、その医薬品卸や薬局を使わなければいけないことが分かりました。初めての開業で分からないことだらけなのに初めから縛りがあるのは嫌だなと思い、そのような縛りのない医歯薬ネットさんに頼もうと思いました。また初期費用が5万円と安価だったことも依頼した理由の一つです」

元々2023年頃の開業を見込んでいた山田先生は、セミナー参加時に今すぐの開業は考えていなかったそうだ。開業時期が2020年11月に早められた背景には、「まさにここ」という開業物件に出会ったからである。

「父のクリニックは兄が継いだため、私はどこで開業しても問題ない状況でした。開業エリアについて強い希望があるわけではなかったので、最初は名古屋市近隣の、家から自転車で通える距離が良いなと思っていました。医歯薬ネットさんに頼みながらも実は自分でも土地を探してみたのですが、希望に合う土地はなかなか見つかりませんでした。そんな中、医歯薬ネットさんがこの土地を見つけてきてくれたのです。ここならば開業時期を早めてでも開業したいと思いましたし、医歯薬ネットさんには非常に感謝しています」

目の前は地域住民の生活道路で視認性抜群。
敷地内には駐車場21台分+駐輪場を備え、広々とした造りである。

現在クリニックが建つ場所は、最寄り駅から徒歩で10分程度離れた住宅街の中心地。競合クリニックが少ない為クリニックの需要も高く、目の前をはしる片側一車線の道路は地域住民の生活道路となっている為アクセスも良好だ。自身が根を張るにふさわしい、魅力のある場所だと感じた。

「父のような何でも診ることのできる町医者を目指していたので、色々な年代の方がいて、多くの患者さんが来てくれる場所で開業したいと思っていました。元々外科・内科で開業しようと思っていましたが、診療圏調査のデータを鑑みると皮膚科、小児科の需要も高いので標榜した方が良いと医歯薬ネットさんからアドバイスを貰いました。結果として今現在クリニックにいらっしゃる最高齢は100歳、最年少は生後7日と、幅広い年代の方を診られるクリニックになりました」

落下傘開業 発熱外来とワクチン接種で認知度向上

新型コロナウイルスが猛威を振るう中での開業となったものの、山田先生は万全の感染症対策と臨機応変な対応によってこの荒波を乗り越えた。

「開業の準備段階では夏には収束するだろうと漠然と予測していたのですが一向に収まらなかったので、元々カウンセリングを行う目的でレイアウトに組み込んでいた多目的室を、状況に応じて隔離室としても使えるようにしました。一般患者と発熱患者の動線を分けられるレイアウトにしたのですが、窓を設けることが難しかったので、換気扇を強力なものにすることで他の部屋の空気と混ざらないように工夫しました。また、オゾン発生装置と空気清浄機を稼働させることで、院内感染対策を施しています。とは言え、最初はスタッフを守る為にも発熱外来をやるつもりはありませんでした。しかしコロナの新規感染者が増加し続ける中で発熱外来を行うクリニックが周辺に少なく、患者さんはどこに行くのだろうと思いました。そこで発熱外来を始めたのですが、かかりつけ医が診てくれないから来ましたという患者さんも多数いらっしゃり、需要の高さを実感しました。基本的には車で待機していただき私たちがそこへ向かうドライブスルー検査をしていましたが、徒歩でお越しになられた発熱患者さんに対しては、スタッフ用の駐車場として設けていたクリニック裏のスペースにテントを建てるなどして対応しました」

行き場のない患者の為にも発熱外来に取り組んだ山田先生だが、不安が無いわけではなかった。

「コロナ禍に加えて、出身地でも勤務先の病院の近くでもない、全く縁のない場所で開業することには不安もありました。しかし、開業サービスとしてインフルエンザのワクチン接種を安価で提供することで、早い段階で診察券を近隣の方々に持ってもらうことができました。これは医歯薬ネットさんのアイディアだったのですが、ワクチン接種で来た患者さんが今度は他の理由でクリニックに来てくれることも多く、今もワクチン業務には力を入れています」

他のクリニックとの差別化

多目的室を隔離室として使えるように配置したほかにも、クリニックには患者のことを考えたこだわりや工夫が詰まっている。

「最初から箱の形が決まっているテナント開業と違ってゼロから自由に作ることができたので、まず設計士の方や医歯薬ネットさんと共に患者さんの動線を考えて、その後に自分の好み、希望を取り入れてもらいました。下肢静脈瘤の日帰り手術などを行うために手術室を作ったのですが、今後更に患者さんが増えたら手術室兼検査室として活用することも考え、診察室に近い位置に手術室を置いてスムーズな動線を確保しています。また、血管外科外来では腹部動脈瘤や胸部動脈瘤などCTでないと判断できない疾患も扱うので、CTを入れたいと思っていました。

しかし、高額な医療機器ですし、コストパフォーマンスを考えると難しいのかと思って一度は諦めたこともあったのですが、医歯薬ネットさんが作成した事業収支計画書を見るとCTを導入しても経営が回ることが分かったので、CTを入れようと決断しました。他のクリニックとの差別化にもなりますし、導入して良かったと感じています」

 

 

他のクリニックとの差別化と言えば、クリニックに入った瞬間目に入る待合室のグランドピアノだろう。自動演奏で流れるピアノの音色は、患者の心を癒している。

「グランドピアノは設計段階から置くことを決めていました。前提として患者さんをお待たせしてはいけないのですが、待合室で待っている時間を少しでも気持ち良く過ごしてもらう為に生のピアノの音を流しています。また、地域貢献の一環として将来的にはここでミニコンサートができればいいかなと思っていたのですが、今では実際に地域の方に貸し出してコンサートを行うこともあります」

 

開業して3年、春岡通クリニックは単なる医療施設にとどまらず、地域に根差すクリニックとして住民に愛される場となっているようだ。

幅広く診るクリニックの方が成功に繋がる

何でも診られる町医者になるという夢を現実にした山田先生は、開業医としての確かなやりがいを感じていた。

「勤務医時代は血管外科医としてやり切ったと思っていましたが、開業は未知の世界なのでまだまだ学ぶことが多くて日々楽しさを感じています。また、患者さんに『近くに何でも診てくれるクリニックが出来て良かった』と言って頂けると、開業は私の為だけではなく、地域の皆様にも良い影響を与えられているのだと実感できます。病院の場合はある程度症状や病状が分かった上での治療になりますが、クリニックはどのような状態か分からない患者さんがいらっしゃるので、どう対処すべきか(自分が治療するか、別の医療機関へ紹介するかなど)多くの選択肢の中から適切なものを選択することにやりがいを感じます。もちろん楽しいことばかりではなく、院長であると同時に経営者でもあるので大変なこともあります。経営のことは一つ一つ勉強していますし、診療報酬改定はクリニックの経営に直結するので、常に情報をアップデートする必要があります」

最後に、開業を考えている先生方へメッセージを頂いた。

「私は開業して良かったと思っています。開業しなければ良かったと思ったことは一度もありません。このクリニックの診療方針は何でも診られる町医者なので、町医者に興味がある方は決して後悔しないのではないかと思います。

また、世の中には血管外科に特化したクリニックも沢山ありますが、私自身は専門性を追求した下肢静脈瘤治療のクリニックでの開業には不安がありました。診療報酬が大きく下がった時期もありますし、今後どうなるか分からないことを考えると、自分の専門を超えて診療できるようなプランを立てておいた方が良いと思います。医歯薬ネットさんのセミナーでも『専門性を高めたクリニックよりも、幅広く診るクリニックの方が成功に繋がる』と言われたことを覚えていますし、私も同感です。リスク分散としても、あらゆる可能性に対応できるようなクリニックで開業することをおすすめします」

Doctor’s Profile

・1997年 愛知医科大学医学部卒業1997年 国立国際医療研究センター 外科
・2000年 愛知医科大学病院 第2外科
・2001年 岐阜厚生連 久美愛病院(現:高山厚生病院)外科
・2003年 独 Krankenhaus Porz am Rhein 血管外科
・2004年 愛知医科大学病院 血管外科(2018年~准教授)
・2020年 春岡通クリニック 開院

【所属学会・資格など】:日本外科学会(専門医)、日本心臓血管外科学会(専門医)、日本脈管学会(専門医)、日本血管外科学会(評議員、認定血管内治療医)、血管内レーザー焼灼術指導医、腹部・胸部ステントグラフト指導医、浅大腿動脈ステントグラフト実施医、難病指定医 ほか

弊社が開業支援をさせていただきました

株式会社医歯薬ネット
TEL:03-5421-7260
URL:http://www.ishiyaku-net.jp または 医歯薬ネット検索
クリニック開業支援の専門企業として、本格的なコンサルティングを行っている医歯薬ネット。開業の成功の鍵を握る開業場所の探索に力を入れ、開業ドクターの希望エリア内で最適な物件を探索し、ご提案します。安全に開業までサポートした後も、経営相談・会計顧問業務で関わるため安心です。開業をお考えの先生は下記WEBサイトよりセミナースケジュールをご確認の上、まずはセミナーにご参加ください。
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