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2024年5月31日

マイナ保険証への移行と医療DX 岸田首相が医療制度に言及!?

こんにちは!

突然ですがみなさん、5月19日に岸田首相が山形県を訪問したことはご存じですか?
首相は日本海総合病院を訪問し、地域医療連携推進法人 日本海ヘルスケアネットの取組に関する意見交換や、医療DXに関する取り組み(マイナンバーカード受付専用機)の視察を行いました。

その後の会見では、かかりつけ医機能が発揮される制度整備を進めていくことに加えて、マイナ保険証は医療DXを進める基盤として利用を促進していく旨を語りました。
厚生労働大臣が医療制度に言及することはよくあるのですが、首相が医療制度の政策に具体的に言及するのは珍しいことで、医療提供体制改革を推し進めていくという意志の強さが感じられます。

(参考)山形県訪問 首相官邸
https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/actions/202405/19yamagata.html

(参考)山形県訪問等についての会見 首相官邸https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/statement/2024/0519kaiken.html

 

そこで今回は、会見でも言及されていたマイナ保険証について解説いたします。

会見で言及されたかかりつけ医機能については、こちらの記事をご参照ください。
どうなるかかりつけ医 ~かかりつけ医機能報告と医療機能情報提供制度~

なぜマイナ保険証を導入するのか

ご存じの通り、マイナ保険証とはマイナンバーカードを保険証として使用するというものです。

現行の健康保険証があるにも関わらず、なぜマイナ保険証の導入が推進されているのでしょうか。

それは、マイナ保険証が医療DX(デジタルトランスフォーメーション)の基盤となっているからです。

医療DXとは、保険、医療、介護において発生する情報やデータ、使用しているシステム等を
外部化、共通化、標準化し、より良質な医療やケアを受けられるように社会や生活の形を変えることです。

少子高齢社会で人口が減っていく状況にあっても、
最適な医療の提供ができる基盤を整えるために、医療DXによってサービスの効率化や質の向上を目指しています。

マイナ保険証は、この医療DXの基盤であり、
診察券・公費負担医療の受給者証とマイナンバーカードの一体化、電子カルテ・電子処方箋との連携が可能となります。

マイナ保険証を導入するメリットは?

前段にて、マイナ保険証は、保険証等との一体化や、電子カルテ・電子処方箋との連携が可能であるとお話ししました。
では、これによるメリットとはどのようなものでしょうか。

  • レセプトの効率化と待ち時間の短縮

例えば、従来の健康保険証と診察券を利用する場合、紙のカードが2枚必要になります。
一方で、マイナ保険証で診察券を一体化させたものを利用する場合、必要なのはマイナンバーカード1枚のみです。
よって、レセプトでの作業が効率化されます。
レセプト作業の軽減は、患者さんの待ち時間の短縮にもつながるため、一石二鳥です。

  • 紹介業務の効率化と紹介状忘れの防止

マイナ保険証と電子カルテが連携することで、マイナポータルでの自己情報閲覧に加え、
医療機関同士での必要なカルテ情報等の共有ができます。
これによって、紙・FAXを使用しないためコストが削減でき、リアルタイムでの送受信で紹介業務の効率化が可能となります。
さらに、患者さんが紙の紹介状を持ってくることを忘れるといった紹介状忘れの防止の効果も期待されます。

  • 薬剤禁忌と重複投薬の防止

マイナ保険証と電子処方箋を連携することで、処方・調剤情報をリアルタイムで共有できます。
これによって、薬剤禁忌や重複投薬の防止につながります。

  • 救急医療での患者データ活用

救急医療に係る際、患者の健康・医療データを活用できるようになります。
これによって、救急医療の質の向上につながります。

健康保険証からマイナ保険証への移行

上記のようなメリットがあるマイナ保険証への移行は既に計画されています。

2024年12月2日には、現行の健康保険証の新規発行が停止され、
ある程度の移行期間が過ぎれば現行の健康保険証からマイナ保険証へと完全に移行していく予定です。

しかし、現在のマイナ保険証の利用率は
2024年3月時点で全国平均が5.47%で、以前よりは上がったものの依然として低い状態です。
政府は、利用率の低い原因を次のように分析しています。

  • システム導入にコストがかかる
  • 医療機関の受付で「保険証お持ちですか」と聞いている(マイナ保険証について触れない)
  • 情報の紐付けが正常にされていないというトラブルへの不安
  • 医療機関のHPでマイナンバーカードの持参を案内していない
  • 国民にマイナンバーカードを持参・携行する習慣がない保険証廃止の現実感がない

利用率の低さには、岸田首相も山形県訪問時の会見にて言及しており、
対策として今後もテレビCMや新聞広告を使用して国民へ周知・広報を行うほか、
医療機関へは利用実績に応じた一時金の支給や、診療報酬の加算等を実施し、
今後もマイナ保険証の利用率の上昇に向けて取り組んでいくことを語っています。


(参照) マイナ保険証の利用促進等について 厚生労働省 保険局
 https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/001193993.pdf

(参照) 医療DXについて 厚生労働省 【厚生労働省】医療DXについて

(参照) マイナンバーカードの健康保険証利用について 厚生労働省
【厚生労働省】マイナンバーカードの健康保険証利用について

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