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2024年3月22日

日本の近未来か?崩壊寸前の韓国医療–研修医ストライキ–

みなさんこんにちは!

本日は「韓国医療業界は日本の近未来か?」というテーマについてお話しいたします。

韓国の現状

現在韓国は、人口1000人あたりの医師数が2.56人であり、他のOECD加盟国や加盟国の平均(3.7人)と比べても少なくなっています

韓国は、医師が少ないことに加えて医薬品の使用量や高度医療機器の数などが多いわけでは無いため、
医師の数(多さ)が患者さんを救えるかどうかにかなり大きな影響を与えています

医師が不足すると、救える命も少なくなるという状況に置かれているのです。

医師不足によって医療提供体制が崩壊してしまうことを回避することを目的に、
韓国政府は医師の数を増やす政策として大学医学部の定員を2000人増員すると2024年2月6日に発表しました。

研修医のストライキ

すると、これに猛反発した研修医が、大規模なストライキを行いました。
総合病院の医師6400人が辞表を提出したり、主要100病院の研修医約1万3000人のうち約1万2000人が職場を離脱したりするなど深刻な事態となっていて、医療の現場でも混乱が続いています。
医師たちがこれほど強い反発を示すのは理由があります。

医薬分業以前、医師たちが薬を処方することで得ていた利益が無くなることを嘆いていたところ、
当時の政府が医師数の削減を打ち出し、医師の競争率を下げるという政策がとられました。
既得権益が奪われる代わりに、新たな特権を設けるという条件で医薬分業を進めていたのです。

つまり、今回の大学医学部定員の増員で、この約束を裏切る形となってしまったということです。
このような経緯があり、研修医たちは反発を繰り返しています。

 

大学医学部定員増員の内訳が決定

このようなストライキは1か月に渡って続いていますが、3月20日、韓国政府は大学医学部の増員に向けて、各大学に増員枠を割り当てたことを発表しました。

医学部定員枠の8割超を地方の大学に増やしました。一方で、ソウル市内の医大は365人分の増員を要請しましたが、割り当てはされませんでした。

これには医師が首都圏に集中し、地方で不足しているという韓国の医療制度の問題へ対処する意図があるのでしょう。

これを受けて、延世大学と高麗大学医学部の教授たちは政策撤回を要求するなど依然として反発している状況で、対立は激化しています。

日本と韓国の類似点

ここまで、韓国の医療の現状をお話ししてきましたが、日本にも韓国の医療業界の問題と似ている点が二つあります。

一つ目は、日本の人口1000人当たりの医師数が2.6人で、他のOECD加盟国や加盟国平均(3.7人)と比較すると医師数は少なく、
韓国と同様に医師が不足していることです。

二つ目は、地域によって医療格差があり、現在の人口動態には合わない医療提供体制になっていることです。

このように韓国と同じ課題を抱えている日本ですが、日本も韓国のような医療業界の危機が訪れるのでしょうか?

日本と韓国の違い

結論から申し上げると、全く同じ末路をたどるわけではないと思われます。
なぜなら日本と韓国では状況が異なる部分もあるからです。

一つの大きな違いとして医師数の少なさが患者さんの生死に直結しているかどうかという観点があります。
韓国では、医師の数が患者さんの生死に直結しています。
医師以外の医療リソース(医薬品・医療機器など)が少なく、医師の不在を補えるものが少ないからです。

一方、日本は医師数は少ないものの、医薬品を使っている量や、高度先進医療機器の数、病院病床数等が多いのです。
医師数が少なくとも、医師以外の医療リソースを使い、患者さんの診療・治療をすることで、医師不足を補っています。
つまり日本は、医師数の少なさが患者さんの生死に直結しているわけでは無いのです。

また、日本でも大学医学部定員の増員は行われていますが、現在のところ大規模なストライキは起きていません。

よって、共通の課題も抱えているものの、状況が異なる部分もあるため、全く同じ末路をたどる可能性は低いのです。
とはいえ、今後も韓国医療業界の動向からは目が離せません。


こちらの内容は、動画内でも詳しく解説しておりますので、ぜひご覧ください。

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